化学辞典 第2版 「ピロリン」の解説
ピロリン
ピロリン
pyrroline
dihydropyrrole.C4H7N(69.11).1-,2-および3-ピロリンの3種類の異性体がある.【Ⅰ】1-ピロリン(3,4-dihydro-2H-pyrrole):地中海沿岸の果物ハエCeratitis capitataの雄性フェロモン.プトレッシンからGABA(ギャバ)が生合成される際の中間体4-アミノブチルアルデヒドが分子内縮合して生成する.植物ではピロリジンからも生合成される.希薄溶液中では安定であるが,容易に三量体になる.【Ⅱ】2-ピロリン(2,3-dihydro-1H-pyrrole):炊いた米やタコノキPandanus amaryllifoliusの香り成分.不安定で樹脂化しやすいため,遊離の形では得られていない.2,3位に置換基を有するものは安定に得られている.【Ⅲ】3-ピロリン(2,5-dihydro-1H-pyrrole):ピロールを亜鉛末と塩酸あるいは酢酸で還元すると生成する.さらにナトリウムとアルコールで還元するとピロリジンとなる.3-ピロリンはアミン臭のある無色の液体.沸点90~91 ℃(99.7 kPa).0.9097.1.4664.水に溶け,塩基性を示す.空気中で発煙し,また空気中の二酸化炭素を吸収する.塩酸塩C4H7N・HClは融点173~174 ℃.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報