血圧抑制や抗うつなどの効果があるとされるアミノ酸の一種。国際的な化学物質命名法(IUPAC命名法)のγ(ガンマ)(gamma)-aminobutyric acidの頭文字からとった略語である。日本語名はγ-アミノ酪酸であるが、江崎グリコが2005年(平成17)にリラックス効果があるとしてGABA入りチョコレートを売り出して以降、ギャバという呼び方が定着した。
アミノ酪酸にはα(アルファ)、β(ベータ)、γの三つの異性体があるが、四つの炭素鎖の両端にアミノ基とカルボキシル基をもつ化学構造(γ構造)をとる。化学式はH2NCH2CH2CH2COOH。アミノ酸ではあるが、タンパク質を構成しない。1950年に哺乳(ほにゅう)類の脳から発見され、哺乳類の脳や脊髄(せきずい)のほか、コメ、茶、トマト、乳酸菌、麹(こうじ)菌など動植物界に広く存在することがわかっている。高等動物の興奮を鎮める抑制系の神経伝達物質として知られており、脳機能や高めの血圧を改善する作用などが科学的に確認されている。血中コレステロールや中性脂肪を抑える効果や、いらいらなどのストレスを減らし、睡眠障害などを改善する効果もあるとされる。体内のGABAの働きを高める薬はてんかん治療に使われているほか、国が個別審査して許可する特定保健用食品(トクホ)として、GABAを含んだ緑茶飲料、乳酸菌飲料、チーズなどが市販されている。事業者が自らの責任で効能を証明すればめんどうな審査がいらない機能性表示食品としては、米、茶、青汁、ゴマ、トマト、ブドウ、チョコレート、ヨーグルトなどのGABAを含んだ数多くの商品が開発・販売されている。
[編集部 2019年10月18日]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
…植物ではジャガイモの根茎,トマトの塊茎,マメ科植物の根粒などに,動物では脳に局在する非タンパク質性アミノ酸。略してGABAと呼ばれる。グルタミン酸のα‐カルボキシル基の酵素的脱炭酸により作られる。…
…適応症として,運動器疾患に伴う有痛性痙縮腰背痛症,変型性脊椎症,椎間板ヘルニア,脊椎分離・辷り症,脊椎骨粗鬆(そしよう)症などがある。 γ‐アミノ酪酸(GABA)は哺乳類の中枢神経系における伝達物質の一つである。脊髄においては,GABAはシナプス前抑制に関与する伝達物質と考えられている。…
※「GABA」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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