1979年に登録、2007年に登録内容が変更された世界遺産(文化遺産)で、フランス中部ブルゴーニュ地方のヴェズレーの丘にある。斜面に立ち並ぶ家々に取り囲まれて、丘の頂にマグダラの聖女マリアを祀るサント・マドレーヌ聖堂が建つ。この聖堂の前身は、860年に創建された修道院で、焼失と再建を繰り返すうち、聖女マリアの聖遺体がここに眠るという伝承が広まり大改築が行われた。12世紀の初頭には、幅12m、長さ64m、高さ18mの身廊(しんろう)を含めた東西の長さ約120mの巨大な聖堂に発展し、エルサレム奪回に向かう十字軍は、ここに集って士気を高め、巡礼者はここからスペインの聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かった。聖堂玄関廊の扉口上部にはロマネスク美術を代表する「使徒に使命を与えるキリスト」の浮き彫り、身廊下の柱頭を飾る見事な彫刻など、ロマネスク聖堂と傑出した彫刻の文化的な価値が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はVézelay, Church and Hill