中臣烏賊津使主(読み)なかとみのいかつおみ

朝日日本歴史人物事典 「中臣烏賊津使主」の解説

中臣烏賊津使主

中臣氏の祖とされる伝説上の人物。『日本書紀』の神功皇后允恭天皇の時代に名がみえ,『続日本紀』は伊賀都臣と記して中臣氏の先祖とする。神功皇后神意を問うたとき,神託の判定者として召され,顕現した神の名をただす。神と人の仲介者を意味する中臣の名にふさわしい功績である。また允恭天皇のときには舎人としてみえ,天皇の命を受け,宮中へ入ることを拒否している女性を迎えるのに成功する。この両者が同一人物とすると,その間7代二百数十年の隔たりがあるので,子孫が先祖と同じ名を名乗ったとも考えられる。しかし5代の天皇に仕えた武内宿禰の例もあり,伝承成立の経緯は別として,往時は同一の人物として認識されていたとすべきだろう。

(神田典城)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中臣烏賊津使主」の解説

中臣烏賊津使主 なかとみの-いかつのおみ

「日本書紀」にみえる豪族
仲哀天皇,神功(じんぐう)皇后につかえ,皇后が新羅(しらぎ)(朝鮮)出兵で神意をたずねた際,神託の判定者である審神者(さにわ)をつとめた。2世紀余もあととされる允恭(いんぎょう)天皇の舎人(とねり)にもこの名がある。「続日本紀」によれば,中臣氏の祖先とされる。名は烏賊津連,伊賀都(津)臣とも。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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