医療廃棄物(読み)いりょうはいきぶつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「医療廃棄物」の意味・わかりやすい解説

医療廃棄物
いりょうはいきぶつ

医療行為に伴って排出される廃棄物。法律上の用語ではなく,一般的な通称として使われている。病院などの医療機関で発生する廃棄物には,使い捨ての医療器具,検査薬品などのほか,血液や体液が付着したもの,手術などで除去した臓器肉体の一部,入院患者の食事の調理くずや食べ残しなど,多種多様な廃棄物が発生する。これらには病原体が含まれている可能性があるため,「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)で特別管理廃棄物に指定され,感染性廃棄物として密閉した容器に保管するなど,厳しく管理することが義務づけられている。かつて医療廃棄物の処理で事件や事故が発生していたことから,厚生省(現厚生労働省)は 1989年医療廃棄物処理ガイドラインを設け,その後廃棄物処理法を改正し,1992年廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアルを策定した。医療廃棄物には病院などで発生する廃棄物以外に,自宅での医療措置によって発生する廃棄物があるが,在宅医療で発生する廃棄物は家庭ごみとして処理されているのが実情で,使用済み注射針など感染性廃棄物への対策は十分ではない。

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