死への存在(読み)しへのそんざい(その他表記)Sein zum Tode

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「死への存在」の意味・わかりやすい解説

死への存在
しへのそんざい
Sein zum Tode

ハイデガーの初期実存哲学の主要概念。ハイデガーはキルケゴールの『死にいたる病』 (1849) に説かれた無の不安の分析をうけて,それを実存論的に解釈し,無が人間存在においては具体的様態として現れることを説いた (『存在と時間』 1927) 。すなわち死は生物に本質的に属するものであり,世界内存在である人間存在の根拠である無の現象である。人間がこの死を気づかずにいるとき,彼は非本来的自己,無人称的人間とされ,これを運命的覚悟性として引受けるとき本来的自己となり,人間的自由,人間的責任を覚知する存在になるという。

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