ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
存在と時間
そんざいとじかん
Sein und Zeit
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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
ドイツの実存哲学者ハイデッガーの主著。1927年刊。テーマや方法に関する序論に続いて、「現存在の予備的基礎分析」と「現存在と時間性」という二つの部分からなる。前半では人間すなわち現存在の根本構造が「世界―内―存在」であることが示され、また技術的、道具的な環境世界のうちで自己を失って「ひと」das Manとして生きる非本来的な実存の姿が浮き彫りにされる。これに対して後半では、不安や死の自覚を介して、過去からの自己を取り戻し、未来へと先駆しながら、瞬間としての現在において決意的に生きる本来的実存が、過去を忘却し、未来を予期しながら、分散的に現在に生きる非本来的実存から区別される。ハイデッガーを一躍時代の寵児(ちょうじ)にさせた書である。
[宇都宮芳明]
『桑木務訳『存在と時間』(岩波文庫)』
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
…すなわち記号の解釈を通して,いかにして他者の生を了解するか,である。 ハイデッガーは《存在と時間》(1927)において,了解の認識論を了解の存在論に転回することによって,この論理的難点(アポリア)を克服しようとした。そこで展開される基礎的存在論とは,〈存在を了解しつつ存在する〉現存在(人間)の存在解釈学なのである。…
…シェーラーは当時進行中であった生物科学(生物学,生理学,心理学)の方法論的改革,ことにユクスキュルの〈環境世界理論〉を批判的に摂取し,人間が一個の生物でありながら,その生物学的環境を超えて人間独自の〈世界〉に開かれているありさまから人間を見てゆこうと企てたのである。同じフッサールの弟子ハイデッガーは《存在と時間》(1927)において,シェーラーのこの着想も採り入れながら,人間の基本的存在構造を〈世界内存在〉としてとらえ,そのようなあり方をする人間が世界や多様な世界内部的存在者ととり結ぶ能動的かつ受動的な関係の総体を解明し,さらにはその関係の根本的な転回の可能性をさえ模索する壮大な存在論を構想する。 やがて1930年代に入り,ナチス政権のもとにドイツ哲学が圧殺されるころには,現象学はフランスに移植され,サルトルの《存在と無》(1943)やメルロー・ポンティの《行動の構造》(1942),《知覚の現象学》(1945)において新たな展開をとげる。…
…23年マールブルク大学教授に転じ,ヨーロッパの形而上学の歴史についての多彩な解釈を展開するかたわら,新約聖書学者ブルトマンとの親しい対話のなかで西洋哲学の根本的基調を対比的に体得するに至った。この時期の思索の蓄積が主著《存在と時間》(1927)として公表され,1920年代のドイツ哲学界に深刻な衝撃を与えた。その構想はさしあたり,人間の実存から出発してそこへ帰着すべき解釈学的存在論と,これの基礎づけの提唱として表明された。…
※「存在と時間」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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