カリエーラ(英語表記)Rosalba Carriera

改訂新版 世界大百科事典 「カリエーラ」の意味・わかりやすい解説

カリエーラ
Rosalba Carriera
生没年:1675-1757

イタリアの女流画家。ベネチアに生まれ,最初レース職人,次いでミニアチュール画家として修業。さらにパステル画に転じ,軽妙と洗練を求めるロココ趣味とともに流行しつつあったこの新技法を用いて,ベネチアの上流人士やヨーロッパ各地からの富裕な旅行者の肖像を描き,国際的な成功を収めた。それらの肖像画の多くは,パステル特質を生かして一瞬の表情をとらえた胸像または頭部像である。1721年にパリ,30年にはウィーンに旅行して盛大な歓迎をうけている。パステルで宗教的・寓意的主題も描いた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカリエーラの言及

【パステル】より

…18世紀のフランス宮廷を中心にロココ美術が流行すると,その柔らかく華麗な色調が好まれてパステル画が絵画の一ジャンルとして独立した。おもに宮廷人たちの肖像や,風俗を描いたものが多く,ベネチアの女流画家カリエーラをはじめ,ラ・トゥールQuentin de La Tour(1704‐88)やペロノーJean Baptiste Perronneau(1715‐83),リオタールJean Etienne Liotard(1720‐89)などが油彩画と匹敵する作品を残している。パステル画は一時すたれたが,19世紀末に印象派の影響下で,色の純粋さ,明るさ,混色の不必要などが再評価され,20世紀初頭にかけて多くの名作が生まれた。…

※「カリエーラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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