ウィーン(英語表記)Wien

精選版 日本国語大辞典 「ウィーン」の意味・読み・例文・類語

ウィーン

(Wilhelm Wien ウィルヘルム━) ドイツ物理学者黒体輻射に関する変位則、熱放射のエネルギー分布式を発見。一九一一年ノーベル物理学賞受賞。(一八六四‐一九二八

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デジタル大辞泉 「ウィーン」の意味・読み・例文・類語

ウィーン(Wilhelm Wien)

[1864~1928]ドイツの物理学者。熱放射研究し「ウィーンの輻射ふくしゃ法則」「ウィーンの変位則」を発表プランク量子仮説先駆をなした。1911年、ノーベル物理学賞受賞。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウィーン」の意味・わかりやすい解説

ウィーン
Wien

オーストリア首都。英語ではビエンナ Vienna。オーストリアを構成する九つの連邦州の一つでもある。オーストリア東部の盆地にあり,ドナウ川により南北に分けられる。古代ケルト人の砦に始まり,前1世紀にはローマの軍営地となり,3世紀には人口 1万5000~2万を数えた。1100年頃バーベンベルク家領となり,1137年に都市権を獲得。1156年にバーベンベルク家領オーストリアの首都となった。1288年以降はハプスブルク家領となり,特に 1558~1806年は同家の支配する神聖ローマ帝国の事実上の首都であった。その後 1867年までオーストリア帝国,1918年までオーストリア=ハンガリー帝国の首都として栄えた。歴史を反映して記念建造物が多く,特にゴシック様式バロック様式の建築や近代建築に優れたものが多い。ザンクト・シュテファン大聖堂ウィーン大聖堂。1304~1511,1952再建),マリアアムゲシュターデ聖堂(14~15世紀),聖ペテル聖堂(1702~33),ベルベデーレ宮殿(1714~23),シェーンブルン宮殿(17~18世紀),ホーフブルク宮殿(13,19世紀),近代建築の祖オットー・ワーグナーの郵便貯金銀行(1906)などがある。音楽の都としても知られ,フランツ・ヨーゼフ・ハイドン,ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト,ルートウィヒ・ファン・ベートーベン,フランツ・ペーター・シューベルト,ヨハネス・ブラームスヨハンシュトラウス,フランツ・レハール,グスタフ・マーラー,リヒアルト・シュトラウス,アルノルト・シェーンベルクなど,ここで活躍した音楽家は非常に多い。またウィーン国立歌劇場ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などの音楽団体も有名。オーストリア有数の工業都市で,電機,精密機械,化学,繊維など,各種の工業が発達し,州域をこえた大都市圏を形成している。2001年,中心部に広がる歴史地区が世界遺産の文化遺産に登録された。面積 415km2。人口 171万4142(2011)。

ウィーン
Wien, Wilhelm

[生]1864.1.13. ガフケン
[没]1928.8.30. ミュンヘン
ドイツの物理学者。ゲッティンゲン大学ハイデルベルク大学に学び,ベルリン大学で H.ヘルムホルツに師事した (1882) 。アーヘン工科大学教授 (96) ,ギーセン大学教授 (99) ,ウュルツブルク大学教授 (1900) ,ミュンヘン大学教授 (20) 。 1893年黒体放射について波長と温度の関係 (→ウィーンの変位法則 ) を発見。また放射線の波長分布の式 (→ウィーンの放射式 ) を導いたが,短波長側にしかあてはまらなかった。 J.レイリーの導いた長波長側にしかあてはまらなかった式とともに,のちのプランクの公式 (→プランクの放射式 ) への道を開いた。X線や陰極線,カナル線の研究にも貢献した。 1911年ノーベル物理学賞を受賞した。

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百科事典マイペディア 「ウィーン」の意味・わかりやすい解説

ウィーン

オーストリアの首都で一州をなす。ウィーン盆地の北西にあり,市街の大半はドナウ川右岸,南は東アルプスの延長であるウィーナーワルトの丘陵地。ヨーロッパの学問・芸術の一大中心で,機械,電子,織物,化学製品,工芸品などの工業の中心,水陸交通の要地でもある。 古代ローマ軍団の駐屯地。1278年来ハプスブルク家の支配を受け,その都として発展。1237年―1288年の間しばしば神聖ローマ帝国自由市となる。1365年にはウィーン大学が創設された。1485年―1490年ハンガリー王の支配,1529年,1683年トルコ軍の攻囲を受ける。18世紀マリア・テレジア治下に繁栄。1805年,1809年ナポレオン軍が占領。1848年革命で市民が蜂起。第1次大戦後連邦共和国の首都となる。1938年―1945年ナチスが占領。1945年―1955年米英仏ソによって分割管理される。 幅57m,長さ4kmの環状道路に囲まれた都心のシュテファン大聖堂,ホーフブルク(王城),ブルク劇場ウィーン国立歌劇場,のほかベルベデーレ宮,離宮シェーンブルンなど,ゴシック,ルネサンス,バロック様式の有名な建造物が多く,これらは〈ウィーン歴史地区〉として2001年,世界文化遺産に登録されている。音楽においてもハイドンモーツァルトからシェーンベルクにいたるまで多くの大作曲家を輩出した。演劇・文学では,ドイツ,フランス,イタリアなどの要素が入り混じり,独特な発展をとげた。171万4227人(2011)。
→関連項目オーストリアシェーンブルン宮殿

ウィーン

ドイツの物理学者。ベルリン大学を出て1892年ヘルムホルツの助手として物理工業研究所に入り,1920年ミュンヘン大学教授。電磁光学から熱放射の研究にすすみ,黒体放射に関するウィーンの変位則(1893年),ウィーンの分布式(1896年)を発表。1911年ノーベル物理学賞。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ウィーン」の解説

ウィーン
Wien

ハプスブルク帝国以来のオーストリアの首都。起源はローマ時代の軍隊駐屯地ウィンドボナにさかのぼるが,この地の集落が12世紀に辺境伯バーベンベルク家の宮廷都市となり,13世紀末以降はハプスブルク家の支配下で中世都市として整備される。ハプスブルク家の皇帝位独占に伴い,15世紀以降神聖ローマ帝国皇帝の宮廷都市として発展,その城壁は1683年のオスマン軍の攻囲にも耐えた。神聖ローマ帝国崩壊後はオーストリア帝国の首都としてウィーン会議の舞台ともなる。1857年以降市壁を撤去して市街を近代化。第一次世界大戦後オーストリア共和国の首都となる。

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世界大百科事典 第2版 「ウィーン」の意味・わかりやすい解説

ウィーン【Wien】

オーストリアの首都であるとともに,九つの連邦州の一つである。英語ではビエンナVienna。面積414.5km2,人口160万(1994)。古くは南ドイツからハンガリーへ向かう〈ドナウの道〉とボヘミアからイタリアへ向かう〈琥珀(こはく)街道〉が交差する交通の要衝であり,ゲルマン世界とスラブ世界を結ぶ文化上の交差点であった。
【地理的概観】
 ウィーンの森の東斜面が市の西部を緑の半月状にかこみ,東部にはドナウ川とその分流ドナウ運河が流れる。

ウィーン【Wilhelm Wien】

1864‐1928
ドイツの物理学者。東プロイセン,ガフケンの地主の一人息子として育つ。ゲッティンゲン,次いでベルリン大学に入学し,H.vonヘルムホルツの下で物理学を学ぶ。1886年光の回折現象に関する研究で学位を取得。青年時代のウィーンは家業を継ぐか学究生活に入るか,思い悩んでいたといわれるが,90年国立物理工学研究所の助手となり,照明,冶金などの産業技術を背景とする熱放射の研究に取り組んだ。92年熱電対を改良,95年空洞放射は黒体放射に相当するとの評価を与えて,放射測定実験を開始。

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デジタル大辞泉プラス 「ウィーン」の解説

ウィーン

カール事務器株式会社の鉛筆削りの商品名。鉛筆にキズがつきづらいゴム製チャックを使用。

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世界大百科事典内のウィーンの言及

【オーストリア】より

…正式名称=オーストリア共和国Republik Österreich面積=8万3858km2人口(1996)=810万人首都=ウィーンWien(日本との時差=-8時間)主要言語=ドイツ語通貨=オーストリア・シリングAustrian Schillingオーストリアという呼称は英語名で,ドイツ語では,エスターライヒÖsterreich。〈東の国〉を意味するが,国土は,ヨーロッパの中央部を占め,ドイツはもとより,フランス,イタリアとも深くかかわりあい,ヨーロッパ史上,重要な位置を占めてきた。…

【特別市】より

…同様に隣接するオーストリアにも8州の主権国家の下に15の特別市が存在し,それらは州の下級行政庁たる郡の権能をあわせもっている。また,首都ウィーンは州と自治都市の地位をあわせもつ。韓国ではソウル特別市と釜山・大邱・仁川・光州・大田・蔚山の6広域市(もとは直轄市)があり,かつては自治権をもたなかったが,1991年以降地方自治に移行している。…

【ウィーンの変位則】より

…とくに黒体からの放射ないしは空洞放射では簡明な法則性があり,絶対温度Tの熱平衡状態では,(放射の単位体積につき)各波長λに対して単位波長幅当りの放射エネルギー(スペクトル密度)uT(λ)が最大となる波長λmTに反比例し,λmT=一定となる。これがウィーンの変位則である。右辺の定数は,光速c,プランク定数h,ボルツマン定数kという三つの基本定数で表され,(ch/k)/4.9651=2.8978×10-3m・Kである。…

【黒体】より

…熱放射に関するキルヒホフの法則を証明するための思考実験に当たり,1860年にG.R.キルヒホフ自身が想定した。以来,今日に至るまで熱放射に関する基本的な結果(シュテファン=ボルツマンの法則,ウィーンの変位則,プランクの放射則)はすべて黒体に対して定式化されている。しかし,その意義は実験研究の初期には認識されず,結果がばらつき,また理論との不一致がいわれる原因となった。…

※「ウィーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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