テラフィルメ(英語表記)terra firme

改訂新版 世界大百科事典 「テラフィルメ」の意味・わかりやすい解説

テラ・フィルメ
terra firme

アマゾニア(アマゾン川流域)の,主として第三紀の堆積物から形成された,洪水時の最高水位でも浸水しない高地のこと。〈堅い土地〉の意で,バルゼア氾濫原)とともに代表的な二つの地形の一つ。アマゾン盆地の約90%を占め,熱帯雨林に覆われているが,高温・多雨の気候下であるため,溶解質の無機成分が溶脱されたり,有機物が急速に分解されるので,土壌は本質的に不毛である。熱帯降雨林に覆われたテラ・フィルメでは,天然ゴムやパラ栗の採取など伝統的産業のほかに,豊富な森林資源や各種の鉱物資源の開発が行われている。そして,これらの開発のために,トランス・アマゾン・ハイウェー(アマゾン横断道路)をはじめとする道路が森林を伐採して建設された。しかし,他方ではテラ・フィルメの森林資源の開発や道路建設のための森林伐採はその自然を破壊すると危惧する声もあり,ブラジル国内のみならず,世界的議論の的にもなっている。
アマゾニア
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のテラフィルメの言及

【アマゾニア】より

…それゆえ,河川勾配はきわめてゆるやかであるし,水深が100mを超えるような深いところもある。この時の湖底が現在テラ・フィルメ(〈堅い土地〉の意)と呼ばれ,大洪水でも浸水しない台地となっている。このような平たんな台地に比べ,右岸から流入する支流の源流地方であるマト・グロッソ州では波状の高原や卓状地が広がっているし,北のギアナ地方には急峻な地形が広がり,そこからの支流には多くの滝がみられる。…

※「テラフィルメ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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