トレンティノ・アルト・アディジェ[州](読み)トレンティノアルトアディジェ

百科事典マイペディア の解説

トレンティノ・アルト・アディジェ[州]【トレンティノアルトアディジェ】

イタリア北東部の州。トレントボルツァーノの2県からなる。州都トレント。州全体が山岳地帯で,アディジェ川とその支流がつくる谷沿いのわずかな平野にトレント,ボルツァーノなどの主要都市がある。農業では牧畜業の比重が高く,リンゴ,ナシ,ブドウなどの果樹が栽培される。工業生産では,水力発電が際だっており,他州に提供される。州全体がアルプスを中心とした美しい景観に恵まれ,観光開発が進んでいる。11世紀から19世紀初めまでトレント司教領であった現在のトレント県はウィーン体制でオーストリア領になり,チロル地方に併合されたが,第1次大戦後に現在のボルツァーノ県にあたる南チロル(イタリアではアルト・アディジェ地方と呼ぶ)を含む形で返還された。そのため当初から南チロルのドイツ語系住民の存在は多くの問題を生み,ファシズム期の強制的なイタリア同化政策は彼らの反感を高めた。第2次大戦後はいち早く自治を認められたが,その後もボルツァーノ県の完全自治あるいはオーストリアへの帰属を求める激しい運動がテロをともなって続いたため,自治権の拡大,ドイツ語の公用語化などといった措置で事態の改善がはかられた。このほか山間部にラディン語を話す人々がいる。面積1万3607km2,102万9475人(2011)。

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