凡・大(読み)おお

精選版 日本国語大辞典 「凡・大」の意味・読み・例文・類語

おお おほ【凡・大】

[1] 〘形動〙 (「おほほし(鬱)」「おぼろ(朧)」などの「おほ」「おぼ」と同意。物の形、状態、量、大きさ、感情などがはっきりとしていないさま、漠然としているさま。多く「おおに」の形で用いられる)
① 物の形、状態がはっきりしていないさま。また、気持、考えが明確でなくぼんやりしているさま。いいかげん。
万葉(8C後)二・二一九「天(そら)数ふ大津の子が会ひし日に於保爾(オホニ)見しくは今ぞくやしき」
② きわ立っていないさま。普通である、なみなみであるさま。
※万葉(8C後)六・九六五「凡有(おほなら)ばかもかもせむをかしこみと振りたき袖を忍びてあるかも」
③ (大) 大きいさま。大きめに。ゆったりと。
※万葉(8C後)七・一二七八「夏影の房(つまや)の下に衣裁つ吾妹 裏設(ま)けてわがため裁たばやや大(おほに)裁て」
[2] 〘接頭〙
① 広大の意を添える。「おおむろや」「おおいし」「おおうみ」など。
② 多量の意を添える。「おおゆき」など。
賛美尊敬の意を添える。「おおきみ」「おおみき」など。
血筋順序上位の意を表わす。「おおあね」「おおひめぎみ」など。
程度のはなはだしい意を表わす。「おおぬすびと」「おおおそどり」など。
[語誌](1)(二)①③④は「おおき(大)」に対応し、(二)②は「おおい(多)」に対応する。「おおきい(大)」と「おおい(多)」とは本来同源であり、後に分化したものと考えられるので、接頭語「おお」は未分化の状態を残しているといえる。
(2)(二)⑤の場合、現在ではふつう「だい」を用いるような漢語にも、明治期には「おお」が使われることが多い。(「大失策(オホシッサク)」「大賛成(オホサンセイ)」など)。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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