可変課徴金(読み)かへんかちょうきん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「可変課徴金」の意味・わかりやすい解説

可変課徴金
かへんかちょうきん

輸入課徴金一種。輸入課徴金には,大別して徴収金額または率を一定にした固定課徴金と,一定の基準価格を設け,輸入価格との差額を徴収する変動課徴金とがあるが,可変課徴金は変動課徴金の一つであった。輸入課徴金は,輸入品について輸入業者から一定の金額を徴収して,競合する国内産業を保護した。ヨーロッパ連合 EU前身であるヨーロッパ共同体 ECを形成する機関,ヨーロッパ経済共同体 EECが採用した共通農業政策 CAPで導入され,外国農産物価格が域内農産物価格より低価格である場合に,国際価格に応じて変動する基準価格との差額を徴収した。徴収率は毎月または毎週変更された。ガット上は合法であったが,アメリカ合衆国などにとっては輸入制限的であり,国際競争を阻害するものとして見直しが要求された。ガットのウルグアイ・ラウンド農業交渉において可変課徴金制度は廃止され,一般関税に移行した。

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