大殿・大臣(読み)おとど

精選版 日本国語大辞典 「大殿・大臣」の意味・読み・例文・類語

おとど【大殿・大臣】

〘名〙 (「おおとの(大殿)」の変化した語)
① 建物を尊んでいう。
(イ) 貴人の邸宅やその中の建物を尊んでいう。御殿
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「おとどの上の瓦くだけて、花のごとく散る」
(ロ) (「馬場(うまば)のおとど」の形で) 騎射(うまゆみ)競馬(くらべうま)を見るために馬場に設けた簡略な建物。
(ハ) (「夜のおとど」の形で) 宮中、清涼殿内にある天皇の御寝所。
② 邸宅に住む人を尊敬していう。「…のおとど」「…おとど」の形で、「殿」や「様」の意を表わすことが多い。
(イ) 家の主人である貴人。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「さぶらひ給ふ右大将のおとど、御馬をひきまはして」
(ロ) とくに大臣をさしていう。官職名ではない。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「左大臣のおとど、世の中をまつりごち」
③ 女主人の尊称
源氏(1001‐14頃)野分「北のおとどのおぼえを思ふに」
女房の尊称。
落窪(10C後)二「おとど独子(ひとりご)なりければ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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