当山年中行事条々(読み)とうざんねんちゅうぎょうじじょうじょう

改訂新版 世界大百科事典 「当山年中行事条々」の意味・わかりやすい解説

当山年中行事条々 (とうざんねんちゅうぎょうじじょうじょう)

修験道の霊場,大和金峰山きんぷせん)の山上下山諸堂社の年中行事記。吉野山竹林院に所蔵される。前半に諸堂社の年中行事を月日を追って記した〈当山年中行事〉を掲げ,後半に〈金峯山年中勤行等記録〉〈御花供正頭所役日記〉を収めてこれを補っている。文中,応永,永享享徳等の年号が見えるので,その直後(15世紀中ごろ)あたりに編集されたもののようである。編者は,巻末の奥書により,金峰山千手院隆遍と思われる。諸堂社の修正会(しゆしようえ),法華八講,御田植神事等のほか,山上の出峰山伏笈渡(おいわたし),験競べ(げんくらべ),役行者御影供(みえく)など,修験道独自の行事もうかがわれて貴重である。平安から鎌倉時代の金峰山年中行事は《金峰山創草記》(日本大蔵経修験道章疏5)に記載され,江戸時代のそれは《吉野山衆徒衆中年中行事》(1671,東南院蔵)にあり,時代による変遷盛衰のあとをうかがえるが,この記録の記載が最も詳しい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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