権利自白(読み)けんりじはく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「権利自白」の意味・わかりやすい解説

権利自白
けんりじはく

相手方の主張する権利関係や法律効果の存否を認める陳述をさす。事実自白に対応する意味で権利自白または法律自白という。権利自白が訴訟物たる権利関係自体についてなされる場合には,請求の放棄または認諾となり訴訟終了の効果が生ずる (民事訴訟法) 。しかし狭義では相手方が主張する権利または法律関係のうち,請求自体であるものを除き,単に請求の当否の判断の前提となるものにつき認める場合をいう。たとえば所有権に基づく妨害排除請求の訴えにおいて,被告原告の所有権を認める陳述をすると,相手方は一応その権利主張を理由づける必要がなくなるが,裁判所に法律上不当な権利または法律関係の認定を強いることを許されないような場合には,裁判所は権利自白に反する法律判断をすることが許される。

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世界大百科事典(旧版)内の権利自白の言及

【自白】より

…問題なのは,いわゆる先決的権利・法律関係(例えば,所有物返還請求における所有権)の存否の自白である。これは権利自白と呼ばれ,その効力には争いがある。多数説は,売買,賃貸借,消費貸借のような日常用語となっている法概念を用いてする自白は包括的に事実を陳述するものとして自白の成立を認めるが,それ以外は裁判上の自白でなく,ただ相手方は争いのない限りその権利または法律関係を具体的事実主張によって基礎づける必要がないにとどまるのであって,裁判所は権利自白に拘束されないとする。…

※「権利自白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」