深堀氏(読み)ふかぼりうじ

改訂新版 世界大百科事典 「深堀氏」の意味・わかりやすい解説

深堀氏 (ふかぼりうじ)

上総出身の中・近世武家。平姓三浦氏の一流。平仲光が上総国深堀を所領として深堀氏を称す。仲光は鎌倉幕府御家人となり,承久の乱では幕府方として軍功をあげ恩賞を受けた。だがその子能仲は恩賞地の変更を願い,ついに1255年(建長7)肥前国彼杵(そのき)荘戸八浦(現,長崎県長崎市深堀町周辺)の地頭となった。蒙古襲来のころ同地に土着して,以後在来の領主を制圧して領主支配を発展させる。鎌倉末期より惣領制は弱体化し,南北朝期には惣領と庶子が個別に足利方として活躍。惣領家は深堀城を拠点に漸次所領を拡大した。同時期,彼杵地方では在地領主の一揆が形成され,深堀時勝らも参加したがその結束は弱かった。戦国期,深堀氏は有馬,西郷,竜造寺,鍋島諸氏と次々に結んで,その地位を保った。深堀純賢は豊臣秀吉の九州攻めに参加,本領を安堵されたが,朝鮮の役を契機に鍋島氏の家臣になりきり,以後鍋島姓を称する家老となった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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