自動車排出ガス対策技術(読み)じどうしゃはいしゅつガスたいさくぎじゅつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自動車排出ガス対策技術」の意味・わかりやすい解説

自動車排出ガス対策技術
じどうしゃはいしゅつガスたいさくぎじゅつ

エンジンの改良,吸排気系の改良,排出ガスの後処理など,自動車排出ガスをきれいにして大気汚染を防止する技術。窒素酸化物を 0.25g/kmに削減した 1978年度規制では,本格的にエンジンの改良を主力とした対策車が開発された。一酸化炭素炭化水素対策では,空燃比を高くして完全燃焼をはかるか,サーマルリアクターまたは酸化触媒などで後処理をする方法があるが,窒素酸化物は燃焼度が高まると増加するため,一酸化炭素,炭化水素の処理方法と逆になり,両立させる技術が困難であった。しかし日本では 78年度規制に適合させるために,ガソリン・LPG乗用車において過濃混合気燃焼方式,副室付成層給気燃焼方式,希薄混合気燃焼方式,ロータリーエンジン成層給気方式など,多量の排気循環ガスを混入することなどにより,きわめて高い空燃比で,なお安定した燃焼が得られる技術が開発された。ほかに三元触媒の改良も進んだため,燃料消費量を減少して,運転性能も良好な世界のトップレベルの技術を完成している。一方,トラック・バスなどのディーゼル車両では窒素酸化物の削減が技術的にむずかしく,排出ガス規制への対応がますます厳しくなっている。中央公害対策審議会の最終目標値を達成するためには低公害車導入が必要とされている。

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