低公害車(読み)テイコウガイシャ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「低公害車」の意味・わかりやすい解説

低公害車
ていこうがいしゃ

窒素酸化物浮遊粒子状物質などの排出値を大幅に低減させた環境負荷の小さい自動車。従来の石油燃料をエネルギーとする自動車の排出ガスによる大気汚染が深刻になるにつれて,代替エネルギーによる低公害車の開発・実用化が重視されるようになった。メタノールを燃料とするメタノール自動車天然ガスを燃料とする CNG自動車,太陽光をエネルギー源とするソーラーカー充電池をエネルギー源とし電動モータで走行する電気自動車ガソリンエンジンディーゼルエンジンとモータを併用したハイブリッド車などがある。ハイブリッド車は 1997年に量産が始まった。ガソリン車に比べ価格面で割高であったが購入に際しての優遇制度もあり,2005年の時点で日本国内で 25万台以上が普及。電気自動車は,排出ガスを出さないという利点があるが,車両価格や維持費用が高額で走行距離が短いことが難点だった。1回の充電での走行距離が延びつつあることと小型車の開発,原動機付自転車への応用により,2005年時点で約 1万台が普及している。メタノール自動車は普及促進のため,既存ガソリンスタンドなどにメタノール供給設備を併設したエコステーションが広がりつつあるが,普及は進んでいない。

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百科事典マイペディア 「低公害車」の意味・わかりやすい解説

低公害車【ていこうがいしゃ】

排出ガスを出さないか,またはその量や,騒音振動も少なくするように開発された自動車。電気自動車やソーラーカーは将来,技術開発が進めば優れた低公害車として普及する可能性がある。例えば米国カリフォルニア州は,自動車による大気汚染物質の排出量を低減するため,1988年から試験的に電気自動車の販売を義務づけている。環境庁が1988年にまとめた〈低公害車普及基本構想〉は,都市部を走行し,窒素酸化物を多量に排出しているディーゼル・トラック,バスの代替として,メタノール自動車を普及させるよう提言している。ほかに天然ガス自動車や水素自動車などがあるが,いずれも課題を残している。近年,ガソリンの代替燃料として,サトウキビトウモロコシなどから作るバイオエタノールを用いたエタノール車が注目されている。→クリーンエネルギー自動車

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