荘園図(読み)しょうえんず

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「荘園図」の意味・わかりやすい解説

荘園図
しょうえんず

荘園の見取り絵図。律令制的土地制度のもとでは,土地絵図として,墾田状態を示す墾田図班田の実施状況を示す班田図などが作成されたが,荘園制の発展に伴い,荘園が立券荘号されるときに荘域を明確にするための荘園図が作成されるようになった。荘園図にはまた,荘園が権門に寄進されるときに作成されたものもあり,境相論が起ったとき,境界を明示するために作成されたものも多かった。鎌倉時代,荘園領主地頭との間で下地中分がしばしば行われたが,その際両者の支配領域を明示し,後日紛争を避けるために下地中分絵図がつくられた例も多い。南北朝,室町時代には,農民層の発展に伴う在地の変貌に対応して,名田畠,在家などの所在,規模などが絵図に示されるようになり,荘園制の解体が進行してくると,荘園図は郷村図に取って代られるようになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android