改訂新版 世界大百科事典 「Γ関数」の意味・わかりやすい解説
関数 (ガンマかんすう)
gamma function
解析学で重要な特殊関数。1929年,L.オイラーは定積分に関連して,次の無限乗積を複素数zに対し導入した。
これをA.M.ルジャンドルが,ガンマ関数と命名し,記号Γ(z)を用いた。上の式は,
と一致するが,さらに書き直せば,次のワイヤーシュトラスの標準形に変形できる。
ここに,
は,オイラーの定数である。ワイヤーシュトラスの標準形からわかるように,Γ関数はz=0,-1,-2,……で1位の極をもち,その他では解析的になる。Γ関数に対し次の方程式が成り立つ。
したがって,Γ(1)=1を用いると,正整数nに対しΓ(n+1)=n!。また,である。第2種のオイラー積分は,zの実部か正となる半平面で正則関数になるが,積分値はΓ(z)に等しい。第1種のオイラー積分,
はベータ関数と呼ばれ,Γ関数を用いて,と表される。xが大きな正の数のとき,Γ(x)の近似値を求めるのに,次の漸近展開(スターリングの公式)は有用である。
執筆者:西尾 真喜子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報