ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイギストス」の意味・わかりやすい解説
アイギストス
Aigisthos
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…ヘレネを奪還すべくアウリスに結集したギリシア艦隊の出港時,娘のイフィゲネイアを女神アルテミスへの犠牲に供して,妃クリュタイムネストラの恨みを買った。その10年後,トロイアを陥落せしめ,所期の目的を遂げた彼は,みずからの婢妾としてトロイア王女カッサンドラを伴い,故国に凱旋したが,妃とその情人アイギストスに殺された。彼を主要な登場人物とする文学作品では,トロイア戦争中の彼とギリシア軍最大の英雄アキレウスとの争いを語るホメロスの叙事詩《イーリアス》,エウリピデスの《アウリスのイフィゲネイア》,アガメムノンの殺害とその子女オレステス,エレクトラによる仇討を描いたアイスキュロスの〈オレステイア三部作〉等の悲劇が名高い。…
…さらにアトレウスは和解をよそおい,弟とその子を供宴に招き,ひそかにその子を殺し肉を食せしめた後,首や手足を示した。テュエステスは復讐を遂げるため神託に従って,実の娘との間にアイギストスAigisthosをもうけた。彼によりアトレウスは殺され,後をその子アガメムノンが継ぎ,弟メネラオスとともにアトレイダイ(アトレウスの胤)と呼ばれる。…
…(3)ミュケナイ王アガメムノンと妃クリュタイムネストラの娘。トロイア戦争から凱旋した父を母とその情人アイギストスAigisthosが謀殺したとき,幼い弟オレステスを国外に逃し,成人してからいとこのピュラデスPyladēsとともに故国に戻った弟と力をあわせて父の仇を討った。アイスキュロスの〈オレステイア三部作〉,ソフォクレスおよびエウリピデスの《エレクトラ》などの悲劇作品でよく知られる。…
…ギリシア伝説で,ミュケナイ王アガメムノンと妃クリュタイムネストラの子。トロイア戦争から凱旋した父を母とその情人アイギストスAigisthosが謀殺したとき,まだ少年だったオレステスは姉エレクトラの手引きで叔父のフォキス王のもとに逃れ,いとこのピュラデスPyladēsとともに育てられる。成人後,父の仇を報ぜよとのアポロンの神託をうけた彼は,生涯の友となったピュラデスと故国に帰り,母とその情人を討った。…
…ヘレネの姉妹。夫がトロイアをめざすギリシア艦隊の出帆を可能ならしめるために娘のイフィゲネイアを犠牲に供したことを恨んだ彼女は,夫の出征中に通じた義理の従兄弟のアイギストスAigisthosと謀り,10年ぶりに凱旋した夫を,婢妾として連れ帰ったトロイア王女カッサンドラもろともに殺害したが,のち息子のオレステスに討たれた。【水谷 智洋】。…
※「アイギストス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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