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100年ころアレクサンドリアで活躍した数学者,天文学者。生涯については,93年にローマで天文観測を行ったというプトレマイオスの報告以外はほとんど知られていない。いくつかの著書のうち,もっとも影響力をもったものは《球面学》である。この作品のギリシア語原文は残存せず,アラビア語訳や,それからのクレモナのゲラルドによるラテン語訳を通して後世に伝承された。ヨーロッパ近世社会ではE.ハリーの版本(1758)によって普及した。この著作によって,球面三角法が初めて体系化されたといってよい。その第1巻は,ユークリッド《ストイケイア》第1巻の平面三角形に関する諸命題に対応する球面三角形の諸命題を与えている。第2巻は,テオドシウスの天文学的著作の一般化を内容とする。第3巻においては,球面上の〈メネラウスの定理〉を,平面幾何学における〈メネラウスの定理〉を前提としつつ導くかたわら,球面三角形についての諸公式を述べている。このメネラウスの定理は,プトレマイオスの天文学的著作《アルマゲスト》に利用されることによって広く知られることになった。
執筆者:佐々木 力
ギリシア伝説のスパルタ王。ミュケナイ王アガメムノンの弟。多数の求婚者の中から選ばれて絶世の美女ヘレネの夫となり,一女ヘルミオネHermionēをもうけたが,所用で国を留守にしていた間に,トロイアの王子パリスにヘレネを連れ去られたため,トロイア戦争が起きた。この戦争で彼はヘレネの身柄と奪われた財宝をかけてパリスと一騎打ちに及び,勝利の寸前までいったものの,パリスを寵愛する女神アフロディテの妨害にあって,決着をつけることができなかった。その後,トロイア落城の際には,巨大な木馬の腹中にひそんで城内に入り,パリスの弟で,兄の死後ヘレネの夫となっていたデイフォボスDēiphobosを殺した。このとき彼はさらにヘレネをも殺そうとしたが,彼女の美しさに負けて和解し,8年を費やしてスパルタに帰りついた。帰国後はヘレネとともに幸福な日々を送ったのち,二人ともはるかな西方の楽園エリュシオンの野に赴いたという。
執筆者:水谷 智洋
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ギリシア神話の英雄。アトレウスとアエロペの子で、トロヤ遠征軍の総大将となったアガメムノンの弟。絶世の美女であるスパルタの王女ヘレネを求めて、ギリシア中から英雄が集まったとき、ヘレネが指名した婿に将来災難が起きた際には、すべての求婚者がその夫を援助することを誓い合ったうえでメネラオスが選ばれ、スパルタの王位を継いだ。この求婚者たちは、のちにパリスがヘレネと財宝をスパルタから奪い去ったとき、トロヤ遠征軍を組織した。そしてメネラオスも奪戦し、「トロヤの木馬」に潜んで城内に突入したが、戦争の原因となったヘレネを刺し殺そうとしながらもその美しさに打たれ、剣を取り落とす。彼は8年間海上を漂泊したのち、帰国して彼女とともに幸せな余生を送った。
[中務哲郎]
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…テュエステスは復讐を遂げるため神託に従って,実の娘との間にアイギストスAigisthosをもうけた。彼によりアトレウスは殺され,後をその子アガメムノンが継ぎ,弟メネラオスとともにアトレイダイ(アトレウスの胤)と呼ばれる。スパルタ王となったメネラオスの妻ヘレナがトロイアに出奔して端を発したトロイア戦争では,アガメムノンが遠征軍の総大将となった。…
…こうした共同事業の最大にして英雄時代の掉尾(とうび)を飾るできごとがトロイア戦争であった。ダーダネルス海峡に面する小アジアの都市トロイア(イリオンともいう)の王子パリスがスパルタ王メネラオスの留守に王妃ヘレナをかどわかし自国に連れ帰ったことから,メネラオスの兄ミュケナイ王アガメムノンがギリシアの英雄たちを糾合,大遠征軍をおこす。10年にわたる攻囲戦の後,木馬の計略によってさしものトロイアも落城し,ヘレナは連れ戻された。…
…その裁定をゼウスからゆだねられたトロイア王子パリス(別名アレクサンドロス)は,世界の支配権を約束するヘラ,戦いの勝利を提供しようとするアテナを差しおいて,世界一の美女を与えようというアフロディテにリンゴを渡した。ところで当世随一の美女ヘレネは,すでにスパルタ王メネラオスの妃であった。パリスは美神の指示に従い,スパルタに客となり,王の留守に乗じて財宝とともにヘレネをトロイアに連れ去った。…
※「メネラオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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