オレステス(読み)おれすてす(英語表記)Orestēs

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オレステス」の意味・わかりやすい解説

オレステス
Orestes

ギリシア神話の英雄。トロイ戦争におけるギリシア方の総大将だったアガメムノンと妃クリュタイムネストラの子。トロイから帰国した父が,母と愛人のアイギストス両名に殺されたとき,まだ幼少だった彼は,姉のエレクトラの助けでフォキスに住む伯父のストロフィオスの宮廷に逃れ,そこで従兄弟ピュラデスと固い友情に結ばれ成長した。成人ののち,アポロンの神託に父の仇を討てと命じられ,ピュラデスと一緒に故国に帰り,エレクトラと再会し,彼女に励まされクリュタイムネストラとアイギストスを討ったが,母殺しの大罪を犯したために,復讐の女神エリニュスたちに取りつかれ,その迫害を受け苦しみながらピュラデスとともに諸国を放浪した末に,最後にアポロンの勧めでアテナイに行き,そこでアテナ女神の主宰するアレオパゴスの法廷において無罪の宣告を受けた。このあと彼は,アポロンの助言に従い,黒海北岸のタウリスに行き,そこでかつてアウリスの浜でアルテミスいけにえに捧げられたはずの姉イフィゲネイアと再会した。そして彼女が祭司をつとめる神殿のアルテミス像を盗み出し,姉と一緒にアッチカに持帰ったうえで,ミケーネに帰って王となり,ネオプトレモスの妻になっていた婚約者ヘルミオネを取戻して結婚し,彼女の父メネラオスの跡を継いで,アルゴスとともにスパルタも支配したという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オレステス」の意味・わかりやすい解説

オレステス
おれすてす
Orestēs

ギリシア神話の英雄アガメムノンとクリタイムネストラの子で、父を殺した母親姦夫(かんぷ)アイギストスに対して復讐(ふくしゅう)を果たした。この物語は古代ギリシア悲劇『オレステイア』として知られる。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android