日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイスボル憲法」の意味・わかりやすい解説
アイスボル憲法
あいすぼるけんぽう
Eidsvoll forfatning
1814年5月17日に発布されたノルウェー初の憲法。同国がスウェーデンとの同君連合下に入ることを決定したキール条約に反対し、緊急に招集された祖国独立を目ざす憲法制定会議が、クリスティアニアChristiania(現オスロ)近郊のアイスボルで開かれたところから命名された。ノルウェーの独立、三権分立、地方住民が3分の2を占める有権者による間接選挙の実施、3年任期の一院制議会ストルティングStortingの設立、言論・商業活動の自由、個人の世襲的特権の廃止を内容とする。議会は立法権、徴税権をもち、国王は停止的拒否権(拒否権を受けた法案はその後二度議会が可決すると法制化)をもつものの、国会解散権はなく、王権は著しく制限された。フランス革命思想の影響を受け、その進歩性は評価される。翌1815年同君連合が成立したが、独立を標榜(ひょうぼう)した条項以外は尊重され、自己の権限強化をねらうスウェーデン国王との間で、後の葛藤(かっとう)の種となった。
[大島美穂]