日本大百科全書(ニッポニカ) 「アインシュタイン効果」の意味・わかりやすい解説
アインシュタイン効果
あいんしゅたいんこうか
Einstein effect
アインシュタインが一般相対性理論によって予言した三つの効果をいう。その三つとは、水星の近日点の前進、太陽の重力場による光線の湾曲、重力場による光の赤方偏移である。観測される水星の近日点移動のうち、1世紀当り43秒角の前進については、ニュートン力学では説明できず残されていたが、一般相対性理論によってみごとに説明され、アインシュタイン理論の正しさを示す一つの根拠となった。一方、太陽の縁をかすめる光線は約1.75秒角だけ内側に曲げられるという予想は、1919年の日食での観測で支持され、一躍アインシュタインの名を高めた。重力場による光の赤方偏移は、今日では地球上の実験で高い精度で検証されている。なお、アインシュタイン効果という用語は歴史的なものとなり、現在は学術用語としては用いられない。
[藤本眞克]