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水星 すいせいMercury

翻訳|Mercury

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水星
すいせい
Mercury

太陽系の最も内側にある惑星質量 3.302×1026g,赤道半径 2440km。太陽からの距離は近日点で 4600万km,遠日点で 6982万km,離心率は 0.206でどの惑星よりも大きい。軌道の近日点は 100年に 574秒移動するが,そのうち 43秒は一般相対性理論による効果である。1974~75年のアメリカ合衆国の惑星探査機マリナー10号(→マリナー)による表面の撮影後の調査によって表面の状態が明らかになった。自転周期は 58.6461日で公転周期の 87.969日の約 3分の2。太陽に照らされた面の温度は約 550℃,夜の部分は約 100℃。大気はほとんどなく,弱い磁場が存在する。表面には,と同様な大小の隕石孔がある。

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知恵蔵の解説

水星

太陽に最も近い(0.39天文単位=5.8×10の7乗km)惑星。大気はほとんどなく、表面は太陽の高熱にさらされ、昼は430℃に達し、夜は-170℃まで下がる。公転周期は88日、自転周期は59日で、公転と自転の関係から、昼の時間がほぼ公転周期となる。マリナー(米)などの探査機によると、表面はたくさんのクレーターに覆われている。質量は地球の0.056倍、半径は地球の0.38倍で、いちばん小さな惑星。

(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

すい‐せい【水星】

太陽系で、太陽に最も近い惑星。日没直後または日の出直前の短時間見える。かなり細長い楕円軌道をとり、公転周期0.2409年。赤道半径2440キロ、質量は地球の0.055倍、自転周期58.65日。最大の明るさはマイナス2.4等。表面には無数のクレーターのほか、断崖(だんがい)地形がある。辰星(しんせい)。マーキュリー

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百科事典マイペディアの解説

水星【すいせい】

太陽に最も近い惑星。太陽との平均距離5791万km(0.387天文単位),離心率0.2のかなり細長い楕円軌道を描く。公転周期88日。地球から見て太陽の東西28°以内を往復するため,日の出・日の入りの直前直後しか見ることができない。平均極大光度−1.9等。半径2440km(地球の0.38倍),質量は地球の0.055倍,表面重力は地球の0.37倍,比重は地球と同じ5.5。自転周期は58.65日。1973年11月に打上げられたマリナー10号の探査により,表面には月と同様に多数のクレーターがあることがわかった。もっとも特徴的な地形は〈カロリスベースン〉(熱の盆地)と呼ばれる凹地で,同心円状のリング群で構成されている。大気はほとんど存在せず,太陽の強い日射を長時間(1昼夜は176日)受けるため昼の部分は330℃以上,夜の部分はずっと低温で−160℃に下がる。 水星はギリシア神話のヘルメス,ローマ神話のメルクリウスと同一視された。占星術では精神的能力,記憶,言語,学術などを支配するとされ,錬金術では水銀を象徴。
→関連項目ヘルメスマリナー計画

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世界大百科事典 第2版の解説

すいせい【水星 Mercury】

軌道半長径=0.38710天文単位離心率=0.2056 軌道傾斜=7゜.005太陽からの距離 最小=0.460×108km,平均=0.579×108km,最大=0.698×108km公転周期=87.969日 平均軌道速度=47.36km/s会合周期=115.9日 赤道半径=2440km体積=0.0561(地球=1) 質量=0.05527(地球=1)平均密度=5.43g/cm3自転周期=58.65日 赤道傾斜角=~0゜アルベド=0.06 極大光度=-2.4等赤道重力=0.38(地球=1) 脱出速度=4.25km/s水星は太陽系惑星のうち,もっとも内側を回る天体で,その公転速度は地球の2倍にも達し,約88日で太陽を一周する。

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大辞林 第三版の解説

すいせい【水星】

太陽系のうち、最も太陽に近い惑星。公転周期88日。自転周期59日。半径2440キロメートル。質量は地球の0.055倍。明るさは最大でマイナス2.4等。日没直後の西空または日の出直前東空の低い位置に短時間だけ見られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水星
すいせい
Mercury

太陽にもっとも近いところを公転している惑星。公転軌道の長半径は0.3871天文単位(5790万キロメートル)、軌道の離心率は0.2056でかなりはっきりした楕円(だえん)であり、太陽からの距離は、およそ4600万キロメートルから6980万キロメートルの間を変化する。軌道面の傾斜角も約7度と、8惑星のなかでいちばん大きい。公転周期は88日である。水星は太陽の近くを回るので、観察に好条件の最大離角のときでも見かけの角度28度しか太陽から離れない。日没後の西の空か日の出前の東の空にわずかな時間見られるだけなので、水星を実際に見たという人は少ない。しかしもっとも明るくなるときにはマイナス2.4等に達し、天体暦などで東方最大離角の日を調べておけば、日没直後の西空低く明るいオレンジ色の輝きを目にすることができる。
 水星は、いわゆる地球型の小型岩石惑星に属する。赤道半径は2440キロメートルで惑星中ではもっとも小さく、質量も地球の0.055倍、表面重力は地球の0.38倍である。水星の自転周期は、力学的考察と表面の模様の観測から地球と月の関係と同様公転周期と等しいと考えられたこともあるが、レーダーによる観測の結果、公転周期の3分の2にあたる58.65日と判明した。これも太陽による潮汐(ちょうせき)作用がもたらす力学的な準安定状態の一つである。この自転と公転の周期が組み合わさって、水星の一昼夜の長さは176日となる。つまり1日が2公転周期(2年)に相当するという、奇妙な世界である。水星表面が受ける太陽熱は、太陽との距離の変化によって地球の4.6倍から10.6倍にもなる。そのうえ昼・夜がそれぞれ88日間と長く、また重力が小さく大気がほぼ完全に失われているので、表面温度は昼の430℃から夜間のマイナス230℃まで大きく変化する。こうした厳しい環境にあるため、水星の世界では生命の存在はまったく考えられない。
 水星の表面地形については、地上望遠鏡での観測ではいくらか薄黒い模様が観測されただけだったが、1973年に打ち上げられ1974年に初めて水星の近くを通過したアメリカの惑星探査機マリナー10号による写真で、その姿がほぼ明らかになった。マリナー10号は太陽の周りを回る公転軌道に投入されたため写真撮影ができたのは水星面の半分弱だったが、月面によく似た多数のクレーターなど複雑な地形を認めた。カロリス盆地と名づけられた直径1000キロメートルに及ぶ巨大な同心円状の地形は、太古の巨大衝突の跡と考えられた。水星はその後大きな関心をもたれなかったが、2004年にNASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた水星探査機メッセンジャーは2011年に水星周回軌道に入り、2015年に水星表面に落下するまで水星全面の写真撮影、表面物質の分光探査、磁場の計測などを行った。水星のクレーターには著名な芸術家などの名がつけられたが、そのなかには「ムラサキシキブ(紫式部)」「セイショウナゴン(清少納言)」など13名の日本人の名がある。
 水星はクレーターに覆われたきわめて古い表面をもち月と似てはいるが、地形も歴史も若干異なる。地形は大規模な収縮の影響を受けており、大規模なしわ状構造が多い。密度は5.43と小さな直径にしては高く、内部に巨大な鉄・ニッケル核の存在を示唆する。月と違って地球のような磁場が存在することから、核の少なくとも一部は溶融していることも予想される。そうした水星の表面や磁場を詳しく探査するため、ESA(イーサ)(ヨーロッパ宇宙機関)と日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))は協力して、2018年に水星探査機ベピ・コロンボを打ち上げる予定である。到着は数度のフライバイなど太陽重力に抗する複雑な減速過程を経て、打上げの7年後になる。
 水星の公転運動では、近日点がわずかずつ移動するという観測事実がある。水星の内側に未知の惑星(バルカンという名も与えられた)があるためではないかとしてその捜索に熱中した学者もいたが、アインシュタインの一般相対性理論によって、太陽の重力場で水星軌道の空間に生じるわずかなゆがみでこの現象が説明できることがわかっている。[海部宣男]

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世界大百科事典内の水星の言及

【水銀】より

…なお,硫黄を太陽で,水銀をで表す一対の図像は,錬金術の汎性論的性格を示すものである。占星術では水銀は水星と等置される。錬金術のシンボル解釈では,水星が惑星中太陽に最も近く,したがって黄金と最も関係が深いから,この両領域における水銀=水星の結びつきは共通しているわけである。…

※「水星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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