アウトソーシング戦略(読み)あうとそーしんぐせんりゃく(その他表記)Outsourcing Strategy

知恵蔵 「アウトソーシング戦略」の解説

アウトソーシング戦略

企業価値を創出していく企業活動は、マイケル・ポーター(Michael.E.Porter)流に言えば、主活動(primary activities)と促進活動(supporting activities)からなる価値活動の連鎖すなわち価値連鎖(value chain)の基本形で示される。これらの活動のうちあるものは、費用対効果から企業内あるいは企業外の活動と共同化したり、外部に委託される。特に、少子高齢化、高騰した人件費、かつてない需要変動の振れにさらされた携帯電話、パソコンといった電子関連分野では、工場を持たずもっぱら企画、設計、販売に専念する完全なファブレス型経営から、一部の事業について外部委託するもの、さらには自社工場内の製造ライン単位で外部に委託するやり方などさまざまな形態がある。電子機器の製造受託サービス(EMS:Electronics Manufacture Service)で知られる米ソレクトロン社への生産委託を進め、企画・開発への特化を進めるソニーのファブレス戦略や製造ライン単位で外部の請負業者にその管理も含めて委託する製造ライン請負方式あるいはラインカンパニー制を導入してきている富士通などの携帯電話製造組み立て工場などが挙げられ、一段と普及することが予想される。これは、サイクル期間の短縮化と需要変動の拡大により、正規従業員に代え非正規従業員(パートタイマー、期間工など)の比率を増やしたり、製造工程を外部化することで製造に伴うリスクを分散・回避することを狙ったものである。

(高橋宏幸 中央大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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