富士通(読み)ふじつう

改訂新版 世界大百科事典 「富士通」の意味・わかりやすい解説

富士通[株] (ふじつう)

日本を代表する世界的コンピューターメーカー古河電気工業ドイツのジーメンス社との提携により設立された富士電機製造(株)(1923設立。現,富士電機)の電話工場設備および通信機器関係の事業をすべて分離継承し,1935年に富士通信機製造(株)として設立された。急増する電話機需要および日華事変後の軍需の増加により相次いで新工場を建設した。

 第2次大戦後は戦災による施設の被害も軽微であったため民需生産にスムーズに移行し,操業を再開した。50年には新型電話機の量産体制に入り,通信分野においては58年に全電子式交換機の試作品を完成した。コンピューターについては,1951年よりリレー式コンピューターを製作し,58年にはパラメトロン素子とするコンピューター〈FACOM〉の試作に成功した。翌59年にはパラメトロン式コンピューター1号機を完成した。61年には大型汎用コンピューター開発に成功し,65年からFACOM230シリーズを発表し,この分野での本格的な事業活動が始まった。事業内容がコンピューターや電子部品等にも拡大してきたため,67年現社名に変更。大型汎用コンピューターの分野では日本のトップ・メーカーで,74年には超大型コンピューター,Mシリーズを発表している。パソコン分野での伸びも著しい。80年から日本語ワードプロセッサーワープロ)の発売を開始した。資本金3246億円(2005年9月),売上高4兆7628億円(2005年3月期)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「富士通」の意味・わかりやすい解説

富士通
ふじつう

コンピュータメーカー。富士電機製造(現富士電機)の交換機,電話機などの通信機器製造部門の業務を引き継ぎ,1935年に富士通信機製造設立。その後搬送装置,無線装置などにも進出して総合通信機器メーカーとして発展し,戦後電子工業に進出,1954年日本で初めてリレー式計算機を,1958年には日本初の数値制御装置を完成させた。1957年黒沢商店(現クロサワ)との共同出資で黒沢通信工業設立。1967年現社名に変更。1968年神戸工業を合併。1972年富士通ファナック(現ファナック),富士通テンを設立。1998年富士通東和エレクトロンを合併。コンピュータや日本で高いシェアを誇る数値制御装置などの情報処理機器のほか,電子部品,電話交換装置,無線伝送装置などを生産している。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「富士通」の解説

富士通

正式社名「富士通株式会社」。英文社名「FUJITSU LIMITED」。電気機器製造業。昭和10年(1935)「富士電機製造株式会社(現富士電機ホールディングス株式会社)」から分離独立し「富士通信機製造株式会社」設立。同42年(1967)現在の社名に変更。本社は東京都港区東新橋。コンピューター・通信機器メーカー。システム構築・運営受託も手がける。東京(第1部)・名古屋(第1部)・フランクフルト・ロンドン・スイスの各証券取引所上場。証券コード6702。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「富士通」の解説

富士通
ふじつう

コンピュータ・通信機器メーカー。1935年(昭和10)富士電気製造の電話機部門が分離独立,富士通信機製造として設立。第2次大戦前は逓信省指定メーカーとしてその基礎を確立した。戦後は通信網の発展とともに成長,他方エレクトロニクス時代にも対応し,54年コンピュータの製品化に成功,56年日本最初の工作機械自動制御装置を完成した。67年富士通と改称。イギリスのICLを買収し,世界的コンピュータメーカーとなった。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「富士通」の解説

富士通

コンピューターや電気通信機器などの製造・販売、インターネット事業を行う大手通信機器メーカー。1935年創業。1961年に汎用コンピューターを開発。1981年に、同社のパソコン第1号となるFM-8を発売。他に、ワープロ専用機OASYS(現在は、ワープロソフトの名称)が有名。現在、「FMV」シリーズをはじめとするパソコンを販売している。

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とっさの日本語便利帳 「富士通」の解説

富士通

前身「古河電気工業」の「ふ」+技術提携した「ジーメンス社」(ドイツ)の「じ」+富士山のイメージ=旧社名「富士通信機製造」

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世界大百科事典(旧版)内の富士通の言及

【コンピューター産業】より

…60‐61年ころになると,パラメトロンはトランジスターに比べ速度が遅く消費電力が大きいため,コンピューターの回路素子に用いられなくなり,回路素子の主流はトランジスターとなった。トランジスター式コンピューターは59年に東芝のTOSBAC2100型,日立製作所のHITAC301型,日本電気のNEAC2203型が開発され,60年沖電気工業のOKITAC5090型,61年富士通のFACOM222型が開発され,これらは証券会社や商事会社,生命保険会社などに納入された。なかでも1960年完成の日本最初のオンライン・リアルタイム・システムである国鉄の自動座席予約装置,MARS‐1は,最新のコンピューター利用法として評判が高かった。…

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