アクチノマイシンD(読み)アクチノマイシンディー

化学辞典 第2版 「アクチノマイシンD」の解説

アクチノマイシンD
アクチノマイシンディー
actinomycin D

C62H86N12O16(1255.41).ダクチノマイシンともいう.Streptomyces chrysomallusS.antibioticusなどが産生する抗腫瘍抗生物質.グラム陽性菌に対する抗菌作用もある.橙赤から赤色の結晶性粉末.分解点241.5~243 ℃.-315°(メタノール).UV(メタノール)λmax :244,441 nm(ε 35300,25900).フェノキサゾン骨格をもち,その1位と8位のカルボキシル基L-Thrがアミド結合し,さらに4分子のアミノ酸がつながり,C末端アミノ酸のカルボキシル基とL-Thrのヒドロキシ基が結合してラクトン環を形成している.二本鎖DNAにフェノキサジン環が層間挿入し,RNA合成を阻害,DNAトポイソメラーゼⅡに作用してDNAに二本鎖切断を起こす.メタノール,エタノールアセトンに易溶,水,ジエチルエーテルに難溶.絨毛上皮腫,破壊性胞状奇胎,小児のウイルムス腫瘍(腎芽腫)の化学療法に使われる.LD50 13.0 mg/kg(マウス,経口).[CAS 50-76-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アクチノマイシンD」の意味・わかりやすい解説

アクチノマイシンD
あくちのまいしんでぃー

ダクチノマイシン

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のアクチノマイシンDの言及

【抗生物質】より

…日本で発見され臨床的に用いられているものに,秦藤樹のカルチノフィリン(1954),マイトマイシン(1956),梅沢浜夫のブレオマイシン(1966),ペプロマイシン(1977),アクラシノマイシンA(商品名アクラルビシン,1977),立岡末雄のクロモマイシンA3(1955),石田名香雄のネオカルチノスタチン(1965)があり,とくにブレオマイシン,マイトマイシンは外国でもよく用いられている。外国で発見されたもので治療に用いられているものに,アクチノマイシンD,ダウノルビシン(商品名ダウノマイシン),ドキソルビシン(商品名アドリアシン)がある。一般に,胃癌,肺癌などの内臓癌には制癌剤が効きにくいが,ドキソルビシンは各種内臓癌に効くといわれている。…

【制癌薬】より

…これは主としてRNA合成を阻害し,副作用も少ない。そのほか,日本で見いだされたネオカルチノスタチンやクロモマイシンA3(トヨマイシン),ブレオマイシンの第2世代抗生物質といえるペプロマイシン(ペプレオ)などや,歴史の古いアクチノマイシンD(コスメゲン)なども臨床に利用されている。
[植物アルカロイド類]
 ツルニチニチソウのアルカロイド製剤,ビンブラスチン(エクザール)とビンクリスチン(オンコビン)が臨床に用いられている。…

※「アクチノマイシンD」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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