改訂新版 世界大百科事典 「アシダンテラ」の意味・わかりやすい解説
アシダンテラ
Acidanthera
グラジオラスに似たアヤメ科の球根植物。エチオピア,タンザニア,マラウィ,南アフリカなどに約20種の原種がある。日本にはエチオピア産のアシダンテラ・ビカラーA.bicolor Hochst.とその変種のムリエレーが入っている。美しいほうのムリエレーは白色花で内側の3弁の基部に紫黒紅色の鮮やかな斑紋があり,魅力的である。芳香が午後になると強くなるので,切花や花壇で愛好される。形状や性質はグラジオラス(春植え)と似ていて,6~7枚の剣状の葉をもち,草丈は約1m,花穂約30cmで,5~7輪が下部より順次咲き上る。3~5月に植えると8月上・中旬に咲くが,高温期の花は短命である。6月中・下旬に植えると9~10月に開花し,花もちは長くなる。しかし,秋に開花させた球根は腐ってしまうので,親球は犠牲になる。作り方はグラジオラスとまったく同じである。日当りのよい深い土地が適する。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報