日本大百科全書(ニッポニカ) 「アディゲア」の意味・わかりやすい解説
アディゲア
あでぃげあ
Адыгея/Adïgeya
黒海とカスピ海の間にある大カフカス山脈の北側に位置し、ロシア連邦に属する共和国。正称アディゲア共和国Республика Адыгея/Respublika Adïgeya。片仮名ではアドゥイゲヤとも書く。面積7600平方キロメートル、人口45万(1998)。首都はマイコプ(人口16万7000、1998)。
1922年ロシア連邦社会主義共和国のクラスノダール地方に属するアディゲイ自治州Адыгейская Автономная Область/Adïgeyskaya Avtonomnaya Oblast'として設立され、ソ連崩壊(1991年12月)までその地位を保ってきたが、ソ連崩壊直前の1991年7月政体を共和国に変更し、これに伴い国称が名詞形となり、ロシア連邦に属するアディゲア共和国となった。国土は大カフカス山脈北西側斜面からクバン平野にかけて位置し、クラスノダール地方に囲まれている。平均気温は1月零下2℃、7月22℃。年降水量は700ミリメートル。
1989年国勢調査による民族構成は、ロシア人(29万3640、68.0%)、アディゲイ人(9万5439、22.1%、アドゥイゲ人ともいう)が主である。アディゲイ人の言語アディゲイ語は、アブハズ人の言語アブハズ語や、カバルディノ・バルカリア共和国に居住するカバルダ(カバルディン)人およびカラチャエボ・チェルケシア共和国に居住するチェルケス人の言語であるカバルディノ・チェルケス語と同系の、カフカス諸語アブハズ・アディゲイ諸言語に属する。宗教はイスラム教スンニー派。
おもな工業は、食品加工、林業、木材加工、機械。農業では、サトウダイコン(テンサイ)、小麦、トウモロコシ、ヒマワリ、植物油製造用作物、アサ、果樹、野菜、ブドウなどの栽培、乳・肉用牛の飼育、養豚、ヒツジ放牧、養鶏、養蜂(ようほう)が行われている。
[上野俊彦]