片仮名(読み)かたかな

  • かたかんな
  • 片▽仮名

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

かなの一つ。ひらがなと同じく,漢字が,万葉がなというかなとしての用法を経て変化してできたもの。ひらがながその草体化によって生れたのに対し,片仮名はその体化によって生れた。平安時代に漢文訓読万葉がなを用いたが,を簡潔にすばやく注記する必要から生じた。初め仏徒の間で散発的に発生したものらしく,次第に学系ごとにまとまりをもち,平安後期にかけて社会的にも統一化の方向に進んでいった。 1900年になって字体が1つに定められ,異体がなはほとんど用いられなくなった。今日,擬声語・擬態語外来語俗語発音などの表記におもに用いられているが,これは,訓読覚え書という発生時の性格を反映している。

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デジタル大辞泉の解説

《「かた」は不完全の意で、漢字の一部分を用いるところから》万葉仮名として用いた漢字の偏(へん)旁(つくり)冠(かんむり)脚(あし)など、その一部を取って作り出された音節文字。「阿→ア」「伊→イ」「宇→ウ」の類。平安時代に訓点が用いられるようになってから、その記入用として発達したが、現在では、主に外国語や擬声語擬態語などの表記に用いる。大和仮名五十音仮名。かたかんな。 →平仮名
《「かんな」は「かりな」の音変化》「かたかな」に同じ。
「一には―、一は葦手」〈宇津保・蔵開中〉

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百科事典マイペディアの解説

音節文字の一つ。日本語を表音的に表記する目的で,万葉仮名の漢字の字画の一部だけを採ったもの(伊がイ,呂がロなど)。また二がニ,八がハのように少画字の全画のこともある。漢字の字画を省くことは古くから行れ,万葉仮名の省画も8世紀初めから例があるが,9世紀に入って漢文の訓点記入が起こると,速書および細書のため省画の万葉仮名を記すことが多くなった。当初はもっぱら訓点記入のため用いられたが,やがて仮名まじり文が作られるようになり,10世紀半ばごろには片仮名だけで和歌を記すことも行われた。やがては片仮名による散文も生じ,院政時代には片仮名は説話集や記録などに多用されるようになった。片仮名の作者を吉備真備とする説は信じられず,僧たちの間で,万葉仮名の簡略化によりできあがってきたものと考えられるが,人により流派により,どの字をどう省画するかは一定しておらず,10世紀中ごろまでは異体字がきわめて多かった。世間に流通するにつれて字体が統一され,12世紀ごろには概して現行に近い字体に統合されてきた。現行の字体が固定したのは1900年小学校令施行規則に基づく。片仮名は漢字とともに用いられるのが原則で,漢字の付属的文字であったものだけに符号的性格が強く,現在でも外来語・擬音語・電報文などに用いられている。明治時代以来,小学校の文字教育では片仮名を先に学習させていたが,第2次大戦後は平仮名を先に教えるようになった。
→関連項目大矢透漢字国字

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (「かた」は完全でない、一部分の意。「かな」は「かりな」の転)
① 国語を書き表わすのに用いる音節文字で、四八個を一組とする。平安初期に、南都仏教の学僧たちの間で、経文に訓点を加えるために万葉がなを簡略化して用いたところに発すると考えられている。現在では、主に外来語や擬声語・擬態語などに用いる。かたかんな。やまとがな。五十音がな。豆仮名。⇔平仮名(ひらがな)
※宇津保(970‐999頃)国譲上「男にてもあらず、女にてもあらず、あめつちぞ。そのつぎに男手、はなちがきに書きて。〈略〉つぎにかたかな」
② (①の文字で表記される場合が多いところから) 外来語。外国語。
※行人(1912‐13)〈夏目漱石〉塵労「それで貴方に関係のない片仮名(カタカナ)抔を入れる時は、猶更躊躇しがちになりますが」
[語誌](1)かたかなが漢文の訓読から独立して、国語の文章をつづるのにも用いられるようになったのは平安後期で、それ以来、漢字まじりかたかな文とひらがな文とが並び行なわれることになった。
(2)明治三三年(一九〇〇)に小学校令施行規則で現在通用の字体が定まった。その通用字体と異なる古い字体のものを、異体がな、古体がななどという(異体がなについては、五十音の各項を参照)。ひらがなが主として万葉がなの草書体に発したのに対して、かたかなの多くは省筆によるので、これを略体がなとよぶこともある。その字源は、点画の簡単な漢字の形をそのままとったもの(チ‐千、ニ‐二、ハ‐八など)、漢字の最初の数画をとったもの(ク‐久、サ‐散、ノ‐乃など)、最後の数画をとったもの(エ‐江、ヌ‐奴、ホ‐保など)、草書体また行書体にもとづくもの(キ‐幾、シ‐之、ヤ‐也など)がある。「ン」は比較的後にかたかなの列に加えられた。
(3)発音を示すときにはかたかなを用いることが多く、かたかなを小文字にして普通の国語にない音節を表わしたり、特に表音の必要のある場合などに補助的に用いることがある(ちェッ、ふァ、スィなど)。
〘名〙 (「かんな」は「かりな」の変化した語) =かたかな(片仮名)
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「大の草子に作りて厚さ三寸ばかりにて、一つには例の女の手、〈略〉一つには草くだり同じごと、一つにはかたかんな」

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世界大百科事典内の片仮名の言及

【仮名】より

…日本で漢字を一部分省略するか,極度に草書化するかによって作り出した文字。片仮名と平仮名との2種がある。他に,漢字の意義を考えずにその音のみをそのまま用いるものを万葉仮名という。…

【書体】より

…これは女手または草(そう)とも呼ばれる。片仮名は漢字の音をその楷書体の一部を使って表すもので,伊の偏のイでその音を示すようなものである。これは主に僧侶や学者の間で現在のように一様の字を用いるのでなく,かなり幅広く用いられていたが,明治になって現在の形に統合された。…

【変体仮名】より

…仮名の字体はさまざまなものが用いられてきたが,1900年小学校令施行規則の第1号表によって平仮名,片仮名それぞれが現行の字体に定められた。変体仮名とは,主として平仮名の〈いろは〉47種と〈ん〉について,この表で示された通用の字体とは異なった形のものをいう。…

※「片仮名」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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