改訂新版 世界大百科事典 「アナスタシオス1世」の意味・わかりやすい解説
アナスタシオス[1世]
Anastasios Ⅰ
生没年:430ころ-518
ビザンティン皇帝。在位491-518年。前皇帝ゼノンの死後61歳の高齢で皇妃アリアドネと結婚,軍と元老院の支持の下に即位。497年イサウリア族の反乱を鎮圧し,のち経済官僚出身の手腕をみせ,都市の営業税の廃止,金貨・銅貨の通貨改革,農民に対する課税額の増加および税金の金納化等により32万ポンドの金貨を貯えた。宗教的には異端とされたキリスト単性説を支持,これに反対する首都住民によるトリスハギオンの乱(512),さらにウィタリアヌス将軍の乱(513-515)を招いた。対外的にはフン族やブルガール族の侵入はあったものの,テオドリック大王の東ゴート政権の承認(497),ササン朝との和平条約の調印(506)を果たし,比較的平穏であった。
執筆者:和田 広
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報