日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラスカキチジ」の意味・わかりやすい解説
アラスカキチジ
あらすかきちじ
spinycheek rockfish
shortspine channel rockfish
[学] Sebastolobus alascanus
硬骨魚綱カサゴ目フサカサゴ科に属する海水魚。北海道東部、オホーツク海、ベーリング海から北アメリカ西海岸に至る海域に分布する。体は円筒形に近く、頭のとげが著しく発達する。眼の下の隆起は高くて、そこに鋭い4本の棘(とげ)がある。胸びれの後縁が切れ込み、下の6~7軟条は扁平(へんぺい)で伸長する。卵は透明な寒天質の塊に包まれて産み出され、海面を漂う。孵化(ふか)までに10日以上もかかる。孵化後3日目の仔魚(しぎょ)は体長約3ミリメートルで、海面に浮遊する。成魚は水深100メートルから1500メートルぐらいまでの深海にすみ、体長は80センチメートルほどに達する。
底引網で多量に漁獲されるが、日本ではまれにしか捕れない。塩焼き、煮つけ、みそ漬けにされる。日本産のキチジと近縁であるが、体は細長くて桃赤色で、第3臀(しり)びれ棘(きょく)が第2臀びれ棘より短い。味はキチジより劣る。
[尼岡邦夫]