日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリューシャンカスベ」の意味・わかりやすい解説
アリューシャンカスベ
ありゅーしゃんかすべ / アリューシャン糟倍
Aleutian skate
[学] Bathyraja aleutica
軟骨魚綱ガンギエイ目ヒトツセビレカスべ科ソコガンギエイ属Bathyraja(英名softnose skates)の1種の名称。ソコガンギエイ属は吻(ふん)が細い軟骨により支持されるために柔らかく、簡単に折り曲げることができること、尾部が体盤の長さと同長、または長い場合でもごくわずかであることなどで特徴づけられる。日本近海からは16種が知られている。
アリューシャンカスベは体盤中央の肩帯部に左右対(つい)をなした肥大棘(きょく)があり、尾部正中線にある肥大棘列が肩帯部の肥大棘よりも前方まで連続すること、体盤背面が鱗(うろこ)で覆われることなどの特徴をもつ。生殖方法は卵生で、日本近海では周年産卵し、扁平(へんぺい)な糸巻形の卵殻に入った卵を産む。北太平洋に広く分布し、日本では関東地方以北の北日本から知られている。水深15~1600メートルに生息。全長1.5メートルになる。北日本ではトロール網などで漁獲され、ぬた、煮つけ、干物などにして賞味する。国際自然保護連合(IUCN)のレッド・リストでは、低懸念(LC)とされている(2021年8月時点)。
[仲谷一宏 2021年9月17日]