日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリューロン粒」の意味・わかりやすい解説
アリューロン粒
ありゅーろんりゅう
aleurone grains
イネ科、タケ科植物の種皮の内側にあるアリューロン層中に多量に含まれるタンパク質の顆粒(かりゅう)で、糊粉粒(こふんりゅう)ともいう。直径3~4マイクロメートルの球状体でタンパク質に富んでいるが、フィチン酸の合成、集積の場でもあり、リン酸やカリウム、マグネシウムなどの貯蔵場所になっている。種子が発芽するとき、胚(はい)からアリューロン層に移動してきたジベレリンによって、アリューロン粒の種々の加水分解酵素が活性化され、アリューロン粒の貯蔵タンパク質を分解するとともに、顆粒より胚乳へ加水分解酵素が分泌され、胚乳中のデンプンやタンパク質を分解する。一般に種子の胚乳や子葉の中での貯蔵タンパク質は、タンパク粒とよばれる顆粒に局在し、これをアリューロン粒とよぶこともあるが、厳密には単子葉植物のアリューロン層に含まれるタンパク粒に限定される。アリューロン粒中にはタンパク質などの結晶のみられる場合もある。
[吉田精一]