双子葉植物と並ぶ被子植物の二大区分の一つで,分類階級としては,ふつう綱のランクとされ,ユリ綱Liliopsidaとよばれることもある。子葉は1枚で胚軸に頂生し,幼芽は側生することで双子葉植物と異なる。発芽に際して,幼芽は子葉の筒状部を破って横に出る。幼根は発達せず,やがて不定根を出してひげ根となる。茎は不斉中心柱をもち,維管束は外木包囲型,またはそれへの明らかな傾向をもつ。ほとんどのものは形成層がなくて二次生長をせず,草本性であるが,ヤシ科やタコノキ科のように,茎は多年生で木本状にみえるものもある。しかしこれらは二次生長によるものではない。リュウケツジュ属などでは例外的に二次生長をおこなうが,双子葉植物や裸子植物の二次生長とはまったく異なり,形成層は内側に木部や師部をつくる。葉はふつう単葉で形は単純,葉鞘(ようしよう)をもつものが多い。ヤシ科にみられるように裂けたり,サトイモ科にみられるように穴ができたりして複葉ないし複葉状になることはあるが,双子葉植物のように,小葉の原基がそれぞれに分化して複葉になることはまれである。脈理はふつう閉鎖性で,平行脈をもつものが多い。花は基本的に3数性とみなされるものがふつうであり,また,顕著な異花被花はまれである。双子葉植物に比べると,地下茎や根出葉がよく発達し,地上茎や茎葉の発達の悪いものが多い。
このような単子葉植物の特徴は,双子葉植物のいろいろな群,とくにキンポウゲ目にしばしば見いだされるので,この群に単子葉植物の由来を求めようとする意見が強い。十数目,約60科,約2500属,6万種を含む。オモダカ目など離生心皮をもち,水草の多い群,ヤシ目,タコノキ目,サトイモ目など退化した花を肉穂状の花序につける群,ユリ目,ショウガ目,ラン目など大型の花を発達させた群,ツユクサ目,ホシクサ目,イグサ目,カヤツリグサ目,イネ目など萼と花冠の分化が後退して風媒花となり,茎の節が顕著となる群などにまとめられる。
執筆者:田村 道夫
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被子植物のうち、子葉の数が1個のものをいい、双子葉植物に対する分類群。単子葉植物のほとんどは草本性である。葉は葉柄と葉身に分化しないものが多いが、大形で葉身と葉柄の分化するものなどもあり、形態的には多様である。一次脈は平行脈、二次脈も双子葉植物のような網目状にならない。茎は不斉中心柱で、維管束形成層がない。ユリ目の一部以外には、茎や根の二次肥大成長はみられない。根は幼植物の時代に枯死し、主根は発達せず、かわりに不定根が発達してひげ根を生じる。花は3数性が基本型である。1個の子葉が頂生すると、そのわきに幼芽が側生する。単子葉植物は系統分類上ではまとまった植物群であり、離生心皮で水草化したオモダカ目を中心とする群、肉穂(にくすい)花序をもつサトイモ目、ヤシ目などを中心とする群、ユリ目から分化した多様性のある群の3群に分類できる。
[杉山明子]
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…裸子植物とならぶ種子植物の二大区分の一つで,分類上,ふつう亜門とされるが,有花植物Anthophyta,またはモクレン植物Magnoliophytaとよばれて,門にされることもある。もっとも進化した植物群で,現在,双子葉植物と単子葉植物に二大別され,約22万種が知られている。
[被子植物の多様性]
被子植物は驚くほど多様性を示し,大きさでみてもミジンコウキクサのように1mmにみたないものから,ユーカリノキ属のように百数十mに達するものまで,これだけ違いのある生物群はほかにない。…
※「単子葉植物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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