化学辞典 第2版 の解説
アルキルベンゼンスルホン酸
アルキルベンゼンスルホンサン
alkylbenzenesulfonic acid
R-C6H4-SO3H(Rはアルキル基)の一般式をもつスルホン酸の総称.芳香族化合物とオレフィンとのフリーデル-クラフツ反応によりアルキルベンゼンをつくり,これをスルホン化すると得られる.芳香族化合物としては,ベンゼン,トルエン,ナフタレンを用い,アルキル化剤としては石油から得られるプロペン,イソブテンなどの重合により得られる炭素数12前後のオレフィンを使用し,スルホン化には濃硫酸,または発煙硫酸を用いる.通常は,水酸化ナトリウムによりナトリウム塩として用い,代表的な陰イオン表面活性剤である.アルキル基が大きいものは洗浄力が大きく,アルキル基の小さいものは浸透性が強い.アルキル基が大きいものには,枝分れ状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)と,直鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)とがある.前者は,生物による分解が遅いため,環境汚染につながった.一般には,硫酸ナトリウムを配合して洗浄力を高めて用いられる.酸,アルカリ水溶液中でも安定であり,硬水中でも効果をもつ.代表的な洗浄剤として用いられ,乳化剤などにも用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報