合成洗剤の主成分として用いられる代表的な界面活性剤。略称ABS。第二次世界大戦後まもなくアメリカのオロナイトケミカル社で初めて製造され、日本には1950年(昭和25)に紹介された。プロピレン4分子を高温・高圧で重合させてテトラプロピレンをつくり、これをさらにベンゼンと縮合させてテトラプロピルベンゼンを合成する。これから誘導したアルキルベンゼンスルホン酸塩は工業的には安価であるが、これを主成分とする合成洗剤は自然環境中で分解しくい。この原因は、テトラプロピルベンゼンのテトラプロピル基の部分が枝分れが多いためである。この種の合成洗剤をハード型洗剤という。日本では1968年ごろまでに合成洗剤のほとんどすべてが、環境中で分解するソフト型洗剤に転換された。
[早野茂夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報