ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルマンソル」の意味・わかりやすい解説
アルマンソル
Almanzor
[没]1002. メジナセリ
後ウマイヤ朝の宰相で,事実上の支配者。アルマンソルは,アラビア語の尊称アルマンスールがスペイン語になまったもの。本名はアブー・アーミル・ムハンマド・アルマンスールで,遠祖はイエメン出身のアラブ人。コルドバで法学を修めたのち宮廷に入り,ハカム2世の死後,同志と幼少のヒシャーム2世の擁立に成功し,978年には国家の実権を握って独裁政治を行なったが,みずから新王朝を建設することはなかった。約 50回に及ぶキリスト教諸国への遠征,新都市マディーナ・アッザーヒラ (美しい町) の建設など,多くの建設的事業を行なって後ウマイヤ朝の威光を内外に示した。その専横はよくムスリム史家の批判の対象となるが,今日彼はイスラム世界が生んだ最大の政治家の一人として評価されている。
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