改訂新版 世界大百科事典 「アルミニウム鉱物」の意味・わかりやすい解説
アルミニウム鉱物 (アルミニウムこうぶつ)
aluminium-bearing mineral
アルミニウムを主要化学成分とする鉱物。自然界におけるアルミニウムの産出は,酸化物,水酸化物,硫酸塩,ケイ酸塩などの塩類として知られている。
酸化物ではコランダムが代表的な鉱物である。コランダムのうち赤色透明なルビー,青色透明のサファイアは宝石として珍重される。水酸化物ではギブサイトがあげられるが,これはアルミニウムの原料などとなるボーキサイトの主要な構成鉱物である。硫酸塩としてはミョウバン石が主要な鉱物であって含アルカリ硫酸アルミニウムの化学成分をもち,古くからアルミナ原料として使用されてきた。特にイタリアのローマ北方,トルファ付近より産出したミョウバン石は硫酸アルミニウム,アルミナの原料としてその処理状態がG.アグリコラによって図示説明されている(1556)。また日本では火山・温泉地帯の硫気孔に岩石を積み,硫気の作用によりアルノーゲンalunogen Al2(SO4)3・18H2Oを発生させ,これを水に溶解精製し硫酸アルミニウム,カリミョウバンの原料とした。このアルノーゲンおよび鉄ミョウバン石halotrichiteFe2⁺Al2(SO4)4・22H2Oは硫酸塩類鉱物として,硫化鉄鉱物を含む粘土類の分解生成物で,温泉地帯の硫気孔周辺,たとえば箱根大涌谷,別府明礬温泉などに産出する。
なお高級耐火物原料,触媒担体として取り扱われる場合は,酸化アルミニウムの組成であって,アルミナ鉱物と呼ばれる。
執筆者:湊 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報