水蒸気とともに硫化水素や亜硫酸ガスなどの硫質ガスを多量に出す噴気孔。おもに活火山の火口内や山腹、山麓(さんろく)にあるが、噴火がほとんどないしまったくない古い火山地域(アメリカのイエローストーン国立公園など)にも存在する。普通の噴気孔との限界ははっきりしていないが、硫気孔の温度は200℃以下である。ヨーロッパではソルファタラsol-fataraとよび、イタリアのナポリ市西方のボッツォーリ町にある硫気孔に名づけたのが、のちに普遍的に使われるようになった。日本では大分・熊本県の九重山(くじゅうさん)、神奈川・静岡県の箱根山、栃木県の那須(なす)岳、山形・宮城県の蔵王(ざおう)、岩手県の岩手山、北海道の恵山(えさん)・十勝(とかち)岳・雌阿寒(めあかん)岳など各地の諸火山によくある。硫気孔に昇華物の硫黄(いおう)が付着し、硫黄塔をなしている所もある。かつてはそのような硫黄も採取されていたが、近年は石油精製の副産物の硫黄に押され、廃止された。噴火の前兆として硫気孔が活発化することがあり、硫気孔自身が水蒸気爆発をおこすこともある。平生も付近への立ち入りは危険である。
[諏訪 彰]
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