改訂新版 世界大百科事典 「アワダン」の意味・わかりやすい解説
アワダン
Melicope triphylla(Lam.)Merr.
琉球諸島が分布の北限となるミカン科の常緑小高木で,高さ5mくらいとなる。小枝は灰白色で節部はやや扁平。全体に毛がない。葉は対生し,3出。小葉は倒卵状倒披針形または長楕円状倒披針形,紙質で長さ8~9cm,縁に鋸歯はない。長さ2~4cmの葉柄がある。沖縄では夏,長さ3~5cmの腋生(えきせい)の岐散状円錐花序に小さい白色の花をつける。萼片は長さ約1mm。花弁は長さ約3mm。おしべは8本。果実は袋果で四つに分かれ,各分果は斜倒卵形で長さ約5mm。種子は倒卵状楕円形,長さ約5mm,黒色で光沢がある。琉球諸島(与論島以南の各島),台湾(蘭嶼),フィリピンに分布する。アワダンは沖縄方言。
アワダン属Melicopeはゴシュユ属によく似ているが,おしべが4本でなく8本ある点で区別される。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報