改訂新版 世界大百科事典 「アングロカトリック主義」の意味・わかりやすい解説
アングロ・カトリック主義 (アングロカトリックしゅぎ)
Anglo-Catholicism
オックスフォード運動の影響によってよりカトリック的となったアングリカン・チャーチ内の高教会派の立場をいう。初代・中世教会との連続性を保証するものとして,使徒継承にもとづく主教制と普遍的教会の2信条(ニカエア,使徒)を強調する。宗教改革がもたらしたプロテスタント的性格を極力否定し,ローマ・カトリック教会,東方正教会,古カトリック教会等との教義・職制面での一致を主張する。信仰生活の面ではサクラメント(聖礼典,秘跡)的側面を強調し,洗礼,聖餐だけではなく,堅信礼,告解(個人懺悔),結婚,叙階(聖職按手),終油をサクラメントと認める。典礼においては宗教改革以前に用いられていた教会堂内の装飾(十字架像,ろうそく)や祭服(チャジブル,アルブ)を復活し,大斎始日(灰の水曜日)での灰の使用を回復したため,広教会派や低教会派との間に争いが生じたが,19世紀末までには市民権を獲得した。
執筆者:八代 崇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報