叙階(読み)ジョカイ(その他表記)ordo[ラテン]

デジタル大辞泉 「叙階」の意味・読み・例文・類語

じょ‐かい【叙階】

カトリック教会で、助祭司祭司教などの聖職位を授けること。また、按手あんしゅによって聖別するその儀式。叙階の秘跡祝聖。→按手礼

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改訂新版 世界大百科事典 「叙階」の意味・わかりやすい解説

叙階 (じょかい)
ordo[ラテン]

カトリック教会において,聖職を行うための権能を授け,これをふさわしく果たすための恩寵を与える秘跡のこと。かつては品級と呼び,この品級に叙せられることを叙品授品式ordinatioと称し,司教に叙せられるときに限って叙階式consecratioといっていたが,1972年8月15日に出された教皇パウルス6世の自発教令〈ミニステリア・クアエダムMinisteria quaedam〉(助祭職以下の教会奉仕職に関する規定)ですっかり姿が変わってしまった。すなわち,かつては聖職として,下級4段(下級品級)には守門,読師,祓魔(ふつま)師,侍祭があり,上級3段には副助祭,助祭,司祭があるとされ,それらに入るにはまず剃髪を受けていなければならないといわれていたし,司教職は司祭職の完成であるといわれていた。しかし今や,上級・下級の別はなく,叙階といえば,司教,司祭,助祭に限られ,それ以外には使用されない。また,品級,叙品といった語を使用することもできない。

 ordinatioは叙階式の意味で,司教,司祭,助祭をその前に冠して〈司教の叙階式〉というように用いる。かつての読師lectorと侍祭acolytusの二つが今も残っているが,それは下級の中の二つという意味ではなく,まったく新しい概念でlectorを宣教奉仕者,acolytusを教会奉仕者として考えている。なお以前に,consecratioを今の司教叙階に用いていたが,今では一般に祝聖という意味に使用され,儀式の中の一構成要素として使用される。たとえば司教以外でも,洗礼式や聖香油の祝福修道女奉献のときも使用される。ちなみに,ordoは身分や地位,ordinatioは官職への任命を意味したローマの世俗的官用語から,テルトゥリアヌスによって教会用語にとり入れられたものである。
聖職者
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「叙階」の意味・わかりやすい解説

叙階
じょかい
ordinatio; ordination

叙品ともいい聖職者にその品級を授けることをいうカトリック用語で,その式が叙階式である。品級には司祭,助祭,副助祭 (上級三段) ,侍祭,祓魔師,読師,守門 (下級四段) の各段階がある。これらの品級を受けることを受階といい,叙階するのは司教である。叙階中最も重要なのは司祭 (このうちには完全な権能を有する司祭としての司教が含まれる) の叙階である。叙階によって司祭 (特に司教) が受ける権能は,十二使徒にキリストが与えた権能を受継ぐものとされ,それは按手によって継受されると伝統的に理解されている。叙階式には,このほか定まった祈りが必要とされる。 ordinatioというラテン語は ordoすなわち品級を与える意であるが,ギリシア語の Cheirotonia (按手) の訳語として用いられるようになった。プロテスタントの教会は叙階にあたるものを按手礼と呼ぶが,カトリック教会と異なりこれを秘跡とはみなさず,聖職の職務,権能についても異なった理解に立つ。

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百科事典マイペディア 「叙階」の意味・わかりやすい解説

叙階【じょかい】

カトリック教会で聖職(司教,司祭,助祭)に就く者に権能を授け,恩寵を与える秘跡をいい,その儀式が叙階式ordinatio。ラテン語でordo。かつては品級,叙品,授品式(司教に挙げられる場合は叙階式consecratio)などの語が用いられたが,1972年以降は廃された。
→関連項目按手礼

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普及版 字通 「叙階」の読み・字形・画数・意味

【叙階】じよかい

叙位。

字通「叙」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の叙階の言及

【サクラメント】より

… 教会が公会議で個々の秘跡の七つの数を信仰宣言の中に初めて取り上げたのは,東方正教会との合同の問題を扱った第2リヨン公会議(1274)においてである。それはラテン語でbaptisma(洗礼),confirmatio(堅信),paenitentia(回心),Eucharistia(聖餐),ordo(叙階),matrimonium(婚姻),extrema unctio(終油)と呼ばれた。その後,回心と聖餐の順序が入れ替えられ,アルメニアの教会との合同にあたってもこれが要求されている(1439)。…

【修道会】より

…キリスト教世界において,合法的な教会の権威によって認可され,会員が共通の会憲(インスティトゥトゥムinstitutum)のもとで修道生活を営む組織をいう。その場合,キリスト教の四大修道会則(レグラ=戒律)といわれる〈バシリウス会則〉〈ベネディクトゥス会則〉〈アウグスティヌス会則〉〈フランシスコ会則〉のいずれかに準拠するものを盛式誓願修道会(オルドordo),会憲のみによるものを単式誓願修道会(コングレガティオcongregatio),両者を併せてレリギオreligioという。またソキエタスsocietas,インスティトゥティオinstitutioの語が当てられることもある。…

【サクラメント】より

…こうして秘跡の効果は,教会の奉仕者である秘跡執行者の倫理的状況いかんによるよりは,キリストによって成されたわざとしての秘跡自体の事効的効力opus operatumが重きをなすことになるのは当然である。ただ,秘跡執行者には教会の意図することを行う意向が必要であり,受領者には教会の秘跡を受けようとする意志が必要で,これに妨げを置かないことnon ponere obicemが前提とされること,また,洗礼,堅信,叙階の三秘跡は,受ける人の霊に消えることのない印章characterをしるすから生涯一度しか受けることができないことなどが,やがて神学者の間に共通に認められるところとなった。 教会が公会議で個々の秘跡の七つの数を信仰宣言の中に初めて取り上げたのは,東方正教会との合同の問題を扱った第2リヨン公会議(1274)においてである。…

※「叙階」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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