化学辞典 第2版 「アンチモン電極」の解説
アンチモン電極
アンチモンデンキョク
antimony electrode
アンチモンの表面が酸化アンチモンSb2O3の固体で覆われている,いわゆる酸化物電極の一種.酸化アンチモンが水に難溶性であることを利用して,溶液のpH測定に用いられる.この電極における電極反応は,酸性溶液では,
2Sb + 3H2O Sb2O3 + 6H+ + 6e
となり,また,アルカリ性溶液では,
2Sb + 6OH- Sb2O3 + 3H2O + 6e
と表されるので,その平衡電極電位は,一定温度では,溶液の水素イオンあるいは水酸化物イオンの活量により一義的に定められる.したがって,この電極を溶液のpH測定に用いることができる.アンチモン電極は水素電極に比べて取り扱いが簡単であり,また,キンヒドロン電極よりpH測定の範囲が広い(測定限界は pH 12まで)が,電位の再現性が悪く,また,ほかのイオンの影響を受けやすいので,正確な測定には使えない欠点がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報