改訂新版 世界大百科事典 「アンミ」の意味・わかりやすい解説
アンミ
tooth-pick
bishop-weed
Ammi visnaga Lam.
30~100cmほどになるセリ科の一年草。古くはエジプトを中心とした北アフリカの民間薬で,ディオスコリデスの《薬物誌》にも図と説明がみられる。細裂した葉を出し,ニンジンに似る。夏季に散形状に多数の花をつけ,果実は長楕円形。この果実をエジプトでケラkhella,あるいはケラ実という。フロクロモン誘導体ケーリンkhellin(有効成分),ビスナギンvisnagin,ビスアンミノールvisamminol,ケロールグルコシドkhellolglucoside,クマリン誘導体サミジンsamidin,ジヒドロサミジンdihydrosamidinなどを含む。腎臓病や輸尿管けいれんに使われていたが,中世以降ヨーロッパでは利尿薬,腎臓結石,膀胱結石に用いられた。ケーリンには冠状血管拡張作用がある。チンキは胃疝痛に,煎剤は狭心症,百日咳,喘息など,強心利尿剤,肺炎などに使われる。
執筆者:新田 あや
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報