フランスの首都パリにある歴史的な建造物の一つ。地下鉄バレンヌ(Varenne)駅を下車してすぐの場所にある。◇「アンヴァリッド」は通称(略称)で、正しくは「オテルデザンヴァリッド」(Hôtel des Invalides)という。太陽王と呼ばれたフランス王ルイ14世(1638~1715年)が、1671年に傷病兵の療養施設として計画し、リベラル・ブリュアン(Galerie Libéral Bruant)の設計により1674年に完成した建物である。その後、建築史上たいへん注目されている付属のドーム教会が1706年に完成した。現在も傷痍軍人が暮らす施設となっているが、施設の一部は軍事博物館として利用されている。ドーム教会の地下墓所にナポレオン・ボナパルト(ナポレオン1世、1769~1821年)の廟があることでも知られる。ナポレオンは大西洋の孤島セントヘレナでその生涯を閉じたが、セーヌのほとりに埋葬してほしいとの遺言がなされた。ナポレオンの遺骸がパリに戻ったのは1840年のことで、市内の教会に安置された後、1861年にアンヴァリッドの地下墓所に葬られた。この墓所には、ナポレオンの親族やフランスの著名な将軍も葬られ、以後、軍人を祀る霊廟(れいびょう)となった。また、1789年のフランス革命では、蜂起した民衆が武器を求めてこの施設を襲撃し、その武器をとってバスティーユに向かったことでも知られる。