日本大百科全書(ニッポニカ) 「イエカミキリ」の意味・わかりやすい解説
イエカミキリ
いえかみきり / 家天牛
[学] Stromatium longicorne
昆虫綱甲虫目カミキリムシ科に属する昆虫。奄美(あまみ)大島以南の東洋熱帯域に分布し、家屋の木材や家具材などを食害する。体長15~25ミリメートルで、褐色で灰白色の短毛に覆われて光沢が鈍いが、上ばねは粗い顆粒(かりゅう)を一面に散布し、前胸背には粗いしわがある。触角は雄では体長の2倍近いが、雌では体長ぐらいである。6~8月に現れ夜間活動し、材の割れ目などに卵をまとめて産む。幼虫は発育が遅く、成虫になるまで4年もかかり、家の柱や梁(はり)などの内部を食害する。熱帯域ではシロアリに次ぐ家屋の害虫である。
[中根猛彦]